今日のテーマは「5ブロック」。
麻雀のアガリ形は、ご存じのとおり、アタマ1つとメンツが4つ。合計5つのブロックになります(国士無双と七対子はのぞきます)。
であれば、手作りの時から、5つのブロックを意識しましょう、という考え方です。
まず、「麻雀の匠」の、金太賢プロの第10回をご覧ください。
3分55秒ごろ、手牌はこうなります。
ツモ
金プロは「5ブロックにします。麻雀の教科書5ブロック打法」と話しながら、を切ります。
典型的な5ブロック打法のシーンです。
手牌を、ブロックにわけてみましょう。メンツやアタマになりそうな組み合わせを、1つのブロックとみます。
6つに分けられました。この状態を「6ブロックある」といいます。メンツの候補が4つあればよいところ、5つあることから、「メンツオーバー」または「ターツオーバー」と呼ぶこともあります(注)。
最終的に必要なのは、5ブロックです。
野球は9人、サッカーは11人などと決まっているように、麻雀のレギュラーメンバー数は「5」なのです。
スタメンを決める監督になった気分で、5つを選びましょう。
切るブロックは、最も弱いブロック、一番価値が低いブロックになります。6つのうち
は、リャンメンの受け入れがあり、強いブロックです。必要な戦力ですね。
ということで、
が切る候補になります。
この3つのターツは、受け入れがカンチャンという意味では、価値は同じです。ただし、とは、うまくいけばサンショクに育つ可能性を秘めています。また、タンヤオになる可能性も見て、を切ります。
この後、もしを引くと、こうなります。
ツモ
今度は、がリャンメンターツの優秀なブロックになりました。はクビ寸前だったところ、という心強い相棒が来てくれて、一気に立場がよくなりました。今度は567か678のサンショクの楽しみも出てきましたね。
こうなると、かのどちらかが、リストラ候補になります。
このように、6ブロックある時は、金プロが「教科書」と話しているように、1つを削って5ブロックにするのが基本になります。
もっとも、打点やドラなどが絡み、ターツ同士の優劣が分かりにくいときなど、あえて6ブロックを残して進める場面もあります。6ブロックは牌効率の観点からは不利なのですが、状況に応じて判断を先延ばしにできるメリットもあります。
この比較は、金プロの著書「麻雀『超コスパ』上達法」(彩図社)で、7ページにわたって詳しく解説されています(P108~116)ので、ご興味ある方はぜひお読みください。この本では、金プロは5ブロック打法を強く推奨しつつ、「どうしても5ブロックに選べない場合だけは、6ブロックに構えても構いません」とされています。
もう一つ、「5ブロック」が役に立つのは、序盤です。序盤からなんとなく5つのブロックをイメージする、という方法ですね。
例えばこんな配牌と最初のツモだったとしましょう。
ツモ ドラ
はっきりブロックと呼べるのは、
の3つです。アガリには5ブロックいるので、さらに2つ必要です。
ただ、ドラのはぜひとも使いたいので、まだ1枚しかありませんが、1ブロックに数えます。
のどれかをツモればブロックになるので、期待大ですね。「ぜひ使いたい牌は、1枚でも1ブロックに数える」という考え方は、頻繁に使うので、マスターしておきましょう。
また、よくみると、という形は、次のような発展を見込めます。
1 をツモって メンツ+カンチャンターツに
2 をツモって リャンメンターツ+メンツに
3 をツモって メンツ+アタマに
このように、2つのブロックに進化しやすいので、の4枚で2ブロック、と数えることもできます。
そう考えると、最初の
ツモ ドラ
の手は、
(1) (1) (1) (2)
とわけて、すでに5ブロックあるよ!ともいえるのです。
そう考えると、この5ブロックに含まれないがレギュラーから外れる候補になります。ただ、は、かを引いてくればリャンメンターツになるので、すぐにより優秀なポジションを得る可能性があります。は当面残した方が良さそうですね。
このように、ブロック数を意識すると、序盤の手作りの段階で、道しるべになってくれるのです。もちろん、打点が欲しい場面などでは、あえてブロックを壊して、別の道を目指すこともあります。その際も、「このブロックを失ってまで○○を狙う価値があるか?」と考えられて、判断の基準が明確になります。
序盤の手作りは、毎局行うことなので、「6ブロックを1つ減らす」場面よりも、「将来の5ブロックをイメージする」方が、使う回数は多いといえるでしょう。
次回は、「宝物のような強い形」についてご紹介します。
(注)
「ターツオーバー」という言葉は、厳密にいうと、間違った使い方をされていることもあります。
「ターツ」とは、リャンメンターツ、カンチャンターツ、ペンチャンターツの3種類、つまりあと1つでシュンツになるブロックをいいます。そのため、同じ6ブロックでも、トイツが多い形
ツモ
を「ターツオーバー」というのは、本当は違うんですね。ターツが多いわけではないからです。とはいうものの、語感がよいためか、「ターツオーバー」は広く使われています。どこかで耳にしたら、とりあえず6ブロックのことだな、と理解すれば十分かと思います。
なお最近あまり使われませんが、昔は6ブロックの状態を「メンツターター(面子多々)」と言う人が多かった気がします。ふとした時に「メンツターター」とつぶやいてみれば、昭和な感じ、数十年麻雀やってますよ感を醸し出せる、、、かもしれません。同じことを指す言葉が、時代とともに移り変わっていくのも、興味深い現象ですね。