戦術本レビューで『ウザク本3』のレビューを3月23日より開始しましたが、ウザク氏本人から章末の4コマ漫画のレビューも依頼されたので、こちらで取り上げることにいたします。
第4章
ウイング9枚形が実戦で出現したことはあると思いますが、正直記憶にありません。仮に出現していたとしても、打牌選択に迷うのは本書のように、残りの5枚がヘッド+リャンメン+フォロー牌の場合のみ。しかもその場合も、を切ったところで先にをツモった場合は損しないのですから、複雑な形を覚えることそのものは、やはり実戦であまり役に立つとは言えません。
しかし、だからといって意味がないというわけでもありません。複雑な形を素早く認知できるようになれば、それだけ場を認知する段階における見落としも減りますし、余った時間で他の要素についても余裕を持って判断することができるようになります。大事なのは知識そのものではなく、時間をかけて考えずとも認知、判断できる領域を増やすことにあります。
似たようなことはチンイツの待ち探しにも言えます。複雑な待ちのメンチンをテンパイしたことは、長年麻雀を打っていても数えるほどです。鳴いても満貫以上になるため、大抵は鳴いて手を作るためです。多面チャンの勉強をするあまり、チンイツをなるべくメンゼンで仕上げよう、あるいは、多面チャンができる形をなるべく残そうとして打つようになれば、かえって損をしてしまうことが増えるでしょう。跳満以上の手やリャンメンより広い多面チャンを過大評価するのは、勝ちきれない打ち手に見られがちな特徴でもあります。
しかし、複雑な待ちを瞬時に見抜けるようになれば、それだけで大きなアドバンテージになります。麻雀は一つ一つは簡単なものが多いですが、実戦中にこなす必要があることが何かと多いゲーム。簡単なものでも積み重なればどこかでミスをしてしまうものです。だからこそ、難しい知識を身につけること自体を目的にするのではなく、打牌精度を少しずつでも高めることを目的にするつもりで座学に臨まれることをお勧めします。