ハイテイ、ホウテイから人和、地和の話になり、気付けば「牌の組み合わせではなく、アガリ方を問う役」の話が続きました。一般的に「偶然役」と言われますが、個人的にはアガリ方を問う役として、リーチ、ダブルリーチも含めて「条件役」として分類しています。日本麻雀で一般的に採用されているものでは、立直、ダブル立直、一発、門前清自摸和、嶺上開花、搶槓、海底撈月、河底撈魚、天和、地和。以上の10個が条件役に該当します。
今回は嶺上開花。嶺の上で花が開く。何とも風流な名前です。海底撈月が、「無駄骨を折るだけで全く見込みがないこと」を表す四字熟語であるように、嶺上開花は、高山の山頂という寒いところにも関わらず花が咲くような、滅多にないめでたいことを表す四字熟語…というわけではなさそうです(笑)
大ミンカンから嶺上開花でアガった場合、カンさせた人の責任払いになるルールがあることは第149回で取り上げましたが、それとは別に、嶺上開花にツモの2符がつかないルールもあります。私はてっきり、「責任払いというルールから、嶺上からのアガリはロンアガリ相当でツモ符がつかない」と解釈された為と思っていましたが、このルールはアンカンでも加カンでも適用されます。
一体何故なのか気になっていましたが、理由はやはり昔のルールにあったようです。リーチが無いどころか、手役自体が今よりずっと少なかった19世紀の中国古典麻雀において、嶺上開花は1翻ではなく、4符加算されるというものでした。自摸和は2符加算されるだけで、嶺上開花は必ず自摸和であることもあり複合しません。
全体的に役の点数が高くなるにつて、嶺上開花も1翻役になりましたが、元々自摸和と複合しなかったので、1翻役になってからもツモの2符が加算されなかったのです。日本に伝来してから、ツモアガリなのだからツモの2符を加算すべきという意見が広まり、定着して今に至ります。嶺上にツモの2符がつかないというのも、実はこちらの方が本来のルールだったということに再び驚かされました。
カンすると一発が消えるので、嶺上開花は一発と複合しませんが、海底撈月とも複合しません。海底撈月は「海底牌(王牌を除く山の最後の牌)でツモアガリ」。嶺上牌が最後のツモ牌だったとしても、それは海底牌ではないためです。ただし、嶺上牌が最後のツモ牌であっても、その後の打牌が河底牌(最後の打牌)であることには変わらないので、放銃した場合は河底撈魚がつきます。最後かどうかではなく、ツモ牌、打牌が何に該当するかに着目すればいいだけではありますが、この辺の取り決めもちょっとややこしいですね。