2月16日に開催された第18期雀竜位決定戦3日目の戦い12回戦の観戦記!著者は雀王戦A2リーグ所属の近藤千雄プロ(@donnyoku)です。
【更新情報】
— 日本プロ麻雀協会 (@ClubNPM) February 19, 2020
第18期雀竜位決定戦最終日 12回戦目の観戦記をアップ。https://t.co/VGJz9nRa4V
(観戦記者:近藤 千雄)
当観戦記は日本プロ麻雀協会公式HPにて公開されたものの転載になります。
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12回戦(坂本→千貫→矢島→大浜)
【担当記者:近藤 千雄】
坂本と2位の矢島とは231.4ポイント差、3位の大浜とは244.8ポイント差、4位の千貫とは369.1ポイント差と、坂本が大きくリードして迎えた最終日。
現雀王の堀慎吾曰く、坂本の優勝確率は80%を超えるだろうとのこと。
坂本自身も雀竜位になった姿をこの日までに何度も思い描いていたに違いない。
それが最終日初戦を終え、トータルラスの千貫が見事に坂本とのトップラスを決め一気に差が縮まった。
坂本の80%を超える優勝確率はいったい何%まで落ちたのだろうか。
50%ほどまで落ちただろうか。
協会ルールはほんとうに最後まで分からない。
今日の対局は、坂本の精神力が試される戦いになることは間違いなさそうだ。
東1局、その坂本の親番。
リャンメンリャンメンの平和イーシャンテンにも取れるが、345の三色とドラを見て打。
の2枚切れも加味しての選択だが、弱気になっておらず戦う気持ちが十分持てているようだ。
この選択が功を奏し、と引き寄せ4000オールのツモアガリ。
あまりにも大きな坂本のリードで12回戦がスタートした。
矢島が満貫をツモり返した後の東二局。
坂本はオタ風から積極的に仕掛けてマンズのホンイツへ。
千貫の親リーチが入った後も、仕掛けてドラの単騎の満貫テンパイまで辿り着く。
トータルトップでこの半荘も現状トップ目。
千貫の親リーチにはかなりの筋が通っている。
終盤でこのは押してもいいものか…
坂本は気を落ち着けるかのように、ドリンクを口にし時間をかけて考えた。
これくらいのリスクを犯せないで、ここから勝ち切れるのだろうか?
千貫の待ちのチートイツリーチに対してこのも押し切り、見事をツモり価値ある満貫のアガリとなった。
坂本が精神的に崩れることはなさそうだ。
この半荘でトップを取り、雀竜位へ王手をかけるのだろう。
ここまではそうとしか思えなかった。
東3局、配牌でドラのが暗刻の大浜。
坂本の第1打をポン、第4打をポンであっという間にリャンメン待ちの満貫テンパイ。
これだけ早いテンパイだと見逃しもあるかもしれない。
下家が坂本のため山越しがしやすいポジションだ。
その後ドラのをツモると渋々カン。
坂本からの直撃は取りづらくなるが、跳満になってツモれば15000点差が詰まるため、満貫直撃ほどではないがかなり大きい。
そして上家の矢島から放たれる。
よどみなくツモ動作に入る大浜。
見逃したーーー!!
そう、大浜はこういう決定戦などの条件戦ではポイント差を意識して戦術を変えるタイプのプレイヤーなのだ。
大浜のことを知っていれば、この見逃しは当然するだろうなという感じだった。
その後親の矢島からリーチが入る。
大浜は坂本にトップだけは取られたくないので、矢島の4000オールなども点数状況的には悪くない。
親の矢島のリーチを受けた坂本の手牌がこちら。
リーチの現物は、、。
普通の状態なら、を残して大浜の手変わりがある前にを切っておきたいところ。
が選ばれてもおかしくないが、坂本は打。
大浜の見逃しの可能性は坂本の頭にもしっかり入っている。
そしてリーチの矢島がツモ切る。
よどみなくツモ動作に入る大浜。
見逃したーーー!!
妥協してアガってしまいたくなる状況だが、初志貫徹。
そしてまわってくる坂本の手番。
親リーチの現物は、、。
見逃しがなければ通る。
は親の現物であり、今大浜がツモ切ったの筋での切り出しの大浜にもかなり通りそうだ。
本当に大浜は見逃ししているのか?
さすがに親リーチ後のは見逃さないんじゃないか…
可能性は捨てきれないが、大浜が見逃している可能性とほぼ通りそうながあたる可能性とどちらが高いのだろうか…
坂本はこうべを垂れ、まるで拝むようにを切り出した。
大浜の意地でも坂本を引きずり落とすぞという執念が、坂本から8000点を奪った。
まだまだこの半荘も、優勝も分からない…。
完璧な滑り出しを見せた坂本も、気づけば矢島に捲られ、オーラスには千貫にテンパイ料を操作されることで大浜との着順争いにも破れ三着まで落とされてしまった。
決して坂本の内容が悪いわけではない。
むしろ決定戦経験が多くないにもかかわらず堂々と戦っている。
それでも四着三着とここまで苦しめられてしまうとは…
誰が勝つにしても最後まで気の抜けない最終日になりそうだ。