- 以下「麻雀新聞 2015年10月号」(2015年10月10日発行)より転載 -
皆さん、こんにちは!東京はもうすっかり秋ですね。夏の空をもくもくと覆っていた入道雲たちはどこかへ行ってしまい、代わりにいわし雲が増えました。とても過ごしやすい日が続いています。
いわしで思い出しましたが、秋といえばサンマが旬ですよね。先日、落語の「目黒のさんま」に由来する「目黒のさんま祭り」に参加してきたのですが、高級住宅地で名高い目黒の街を大量のサンマの煙が覆っている様はなかなかに趣深いものでした。匂いに釣られた野良猫たちの眼光の鋭さも印象に残っています。
そんな時候のご挨拶からはじまりましたが、連載第2回目の「◯◯と麻雀」、今回は「株と麻雀」です。すこし煙たいお話になるかもしれませんが、どうかお付き合いください。
なぜ今ここで「株と麻雀」というテーマを扱うかというと、昨今の中国株の暴落とギリシャ危機を受けての世界同時株安が日本にも多大な影響を及ぼしているからです。
麻雀と同様に、時の運も大きいものの、場況を読み、適切な判断と戦略を積み重ねていくことが株式投資の重要なポイントです。優れた麻雀打ちに優れた投資家が多いとよく言われますが、その逆もまた然りであり、麻雀と株式投資の根底にある「運と実力のバランス力」の共通性を感じます。
はてさて、そもそも株価ってどうして変動するのでしょうか。この答えは単純明快で、「株に対する人の評価が変わるから」です。事業が成功してこれから評価が高くなりそうな企業の株価は高くなりますし、逆に事業に失敗したり不祥事を起こしたりして評価が低くなりそうな企業の株価は低くなります。当たり前のメカニズムに思えますが、ここにちょっと面白い構造が隠れています。
現代経済学の基礎を築いたジョン・メイナード・ケインズは、この現象を「美人投票」と呼びました。とある新聞で、美人の写真がずらーっと並べられ、投票によって一番の美人を決めるという企画が行われました。最も投票数が多かった美人に投票した人には、賞金が配られるという仕組みです。
このとき、賞金を得るために投票する人は、「自分が美人だと思う人」よりも「みんなが美人だと思う人」に投票します。これがまさに株式投資の構図と一致するのです。
それは、投資家たちの投資基準が「自分が××株を良いと思うか」という点よりも「他の投資家たちは××株を良いと思うか」という点に定められることです。
ちなみに、この理論を突き詰めていくと「あれ?」と思う人がセンターとなっている某アイドルグループも説明がつきます。
麻雀でも、何切る問題などで意見が割れそうなとき、自然と「みんなが良いと思いそう」な選択肢にしていませんか? 場況よりも空気を読んでしまうのは現代人の哀しい性かもしれません。
そんなとき、自分にとっての「美人」とは何なのか思い出してみてください。最後に余談ではありますが、私は「美人は3日で飽きる」という言葉ほど信用していない言葉はありません。
-PROFILE-
ごっさん:ピカピカの社会人1年生。マスコミ関係の仕事でバリバリ稼ぎます。麻雀店スタッフ経験有り。