第八章 フリテン
(1)初心者のうちはよくフリテン関連で失敗をしてしまいますし、ある程度麻雀に慣れてきても、認知のミスからやってしまうことが多々あるもの。だからこそフリテンになる可能性が残る形を必要以上に恐れる打ち手は多いものです。
打牌を比較するうえで、現在に影響していない過去(面子ができるツモを逃して失敗したという後悔)や未来(テンパイした時にフリテンになり、結果的にアガリ逃してしまうかもしれないという不安)のことまでを考慮に入れてはいけないことは再度申し上げてきました。あくまで現状の牌の組み合わせをもって打牌比較すべきです。フリテンになる可能性が残る牌の組み合わせが、そうでない牌に比べてどの程度の価値があるのか、そのことを知識として身につけていれば、フリテンを恐れることはありません。
(2)問題として取り上げられている例が気になります。確かに役牌もドラ入りのペンチャンも残すことを前提にするなら打ですが、どうしてもアガリたいと言っても、リーチがかけられるなら1面子あるこの手なら素直に役牌を切るのが最もアガリ率を高める選択であるとみます。
また、とある場合、確かに面子を逃すツモを引いた場合は打とする方が有利ですが、を残すこと受け入れが増えるツモはと、を残した場合より多いのですから私は打とする方がよいとみます。これがであれば、直接受け入れを増やす牌が他にないので打とします。
面子のできやすさとして、リャンメン>カンチャンやペンチャン、 4連形や中ぶくれ形>3〜7牌>28牌>19牌 であることは手作りの基本事項ですが、フリテンになる可能性が残る形でも、この中で優劣が覆るまでには至らないと覚えておくと実戦でスムーズに選択できるようになると思います。
(3)3枚からなる面子候補のように、待ち選択が可能な牌の組み合わせであれば、フリテンが残る形であることがデメリットになりません。むしろ、一度切った牌は他家から鳴きやすいということでメリットにすらなり得ます。
他家がこちらの仕掛けに対して降りていることが分かるのであれば、フリテンになることさえデメリットにならないので、手牌Cのように、2枚からなる面子候補同士の比較であってもあえてフリテンの可能性が残る形を残す選択があり得ます。こういうのが実戦でできると、他家を出し抜けるという意味でもなかなか痛快ですね。
長くなりましたが、これにて「スーパーデジタル麻雀」のレビューを終わります。次回からは成岡明彦プロの「神眼の麻雀」をレビューしてまいります。
本記事に関するご紹介
ツキ、流れ、勢いといったあいまいな表現を嫌ってきた著者の明晰な頭脳で、麻雀を論理的に限界まで語りつくされてます。