第六章 迷彩
(3)前回、鳴き手で高打点が狙える、警戒されなければ比較的鳴きやすく出アガリしやすい場合は迷彩が効果的と申しましたが、高打点になりやすく、ヤオチュウ牌のトイツが多いホンイツはまさにその一例と言えます。
先にを引いてもリャンメンを逃すだけで、しかもそれでも鳴き易い端牌や字牌のトイツが残るので、手牌Bは打としてピンズのホンイツに見えづらくするのが効果的です。テンパイ打牌もできれば別の色の牌がいいですが安牌との兼ね合いもあるのでこのあたりは状況次第。もし他色の数牌でも安牌と分かる牌があるならベストですね。ホンイツに限らず、安牌を残すにしても、字牌よりも、こちらからは安牌だと分かる数牌を残した方が、他家に手牌構成を読まれにくくなるというメリットがあります。
逆に言えば、テンパイ以前の段階で同色の牌が切られていても、生牌のヤオチュウ牌が多く残っている場合は迷彩がかけやすいので、ホンイツではないと決めつけないように注意が必要です。
(4)鳴き手ではないですがツモアガリでも打点が変わらず、必ず待ちがヤオチュウ牌になる。そして文句無しの高打点。そう考えると、実は可能なら迷彩をかけておきたいのが国士無双です。序盤の字牌待ちやスジ19待ちについては、他家から変則手が読まれにくい(ベタ降りする他家が、現物が無ければスジ19や字牌を切るような場合)のであれば、牽制効果や降り打ちが期待できることから、例外的にリーチした方がダマにするよりもアガリ率で勝るので、役満確定であってもリーチがよくなります。
国士無双の迷彩、リーチと言えば、金子正輝プロが初めて最高位を獲得した時の決勝戦の牌譜が有名でしょうか。氏の戦術書で初めてその牌譜を見た時は感動を覚えましたが、今改めて見ると、国士無双に放銃した某プロが、テンパイから、金子プロのリーチには手順上ほぼ通るを止めた(切っていれば別のプロのクイタンに放銃)のが気になります。役満への放銃そのものは事故としか言いようがないですが、必要以上に放銃を警戒して自分のアガリ率を落とすと、事故に巻き込まれる可能性は上がってしまうということを改めて感じさせられます。
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ツキ、流れ、勢いといったあいまいな表現を嫌ってきた著者の明晰な頭脳で、麻雀を論理的に限界まで語りつくされてます。