第五章 テクニック総合
11 打 下家はをカンしてこちらの仕掛けにを押していることもありテンパイ濃厚。「危険牌を切って良形待ち」と、「安全牌を切って悪形待ち」との比較。「勝つための現代麻雀技術論」講座33では、多くの場合は危険牌の放銃率は15%以下なので前者有利としましたが、今回は下家の鳴きは待ちが結構絞れているので、の放銃率が15%以上あってもおかしくありません。トップ目につき打と迷いますが、ドラの見え具合から下家の仕掛けは高打点ではない可能性が高いこと。を切って次巡危険牌を引いても降りる牌が無いので結局押すことになることからこれでも通った時にアガリやすくなるように打でしょうか。
12 スルー 良形+悪形の1シャンテンで、悪形を鳴いてタンヤオドラ1テンパイになる仮定でも、ダブルリーチもある1巡目ならスルー有利。今回は3メンチャンが片アガリリャンメンになること、悪形面子候補が良形になる変化もあることからなおのことスルー有利と言えます。メンゼンなら一発裏の祝儀もあるので、鳴き祝儀有りのフリールールだからという理由でそこまで鳴きを早めることもないです。鳴きを早めるとするなら、アガリまで遠いので、祝儀無しのルールなら守備力が低下するデメリットを重く見てスルーするような役牌赤1やタンヤオ赤1のような手の場合でしょうか。
13 打 は残り2枚、は残り1枚、降りている他家が止めていなければどちらも山には残っていそうな牌です。仮に全部山に残っているとすると。「は誰からも出ない、は平均して1人以上から出アガリがきく」のであれば、単騎にした方がアガリやすいことになります。
ここで河から他家の動向を確認します。東家はこちらに通っている牌を手出しで連打しているので明らかにベタ降り。こちらの仕掛けには地獄単騎のより通りやすい牌がいくらでもあるので、テンパイする可能性のない他家からの出アガリは期待できません。南家も手出しは鳴き手に通る牌。それ以前にを切っているので、面子が完成して切られた牌というよりは、出来ている面子を崩して切られた、つまり降りている可能性が高い。よってこちらも出アガリは期待できないとみます。
西家はこちらの仕掛けに危険牌を押してきていることもありテンパイ濃厚。こちらは最後の手出しがなので、「は本命なので止めるが、テンパイならくらいは切る」という判断も合理的です。ただしそうであっても、残りの二人が完全に降りているなら単騎と単騎のアガリやすさは互角。実際は、「の手出しを見て地獄単騎の中も止められる」、または、「勝負手、あるいは押し引き判断ミスでを引いても切ってくる」こともあるので、単騎を維持した方が総合的に有利と判断しました。
枚数重視か、出アガリやすさ重視かで待ち選択を迷うケースは、「山に残っている枚数の期待値×出アガリが期待できる人数の期待値」を予測して待ちを選択します。実戦でも出現頻度が高く、しかも戦績に与える影響が大きいので、場をよく見て特に集中して判断することを心がけたいですね。
14 打 ツモ1回分の差はアガリ率に結構大きな影響を与えますが、打としてテンパイすればカンする選択肢もあるのでそこまでアガリ率には差がつかないとみます。カンするとあがれなかった時に逆転されるケースが増え、着順に影響しないケースであっても、カン裏を1枚乗せるだけでもリーチ者にあがられると5000点損することを考えるとこの時点ではカンを保留するのが無難でしょうか。テンパイならカン、完全1シャンテンになった場合も他家が早そうでないならカンでしょうか。このあたりの分岐点がどこにあるのかは正直よく分からないです。