第六章 オーラスの打ち方
11 打ダマ フリールールの順位点は、今回のルールの場合、9—1−▲3—▲7相当。リャンメンテンパイにつきこのまま押し切っても和了率:放銃率=2:1が見込め、現状東家はテンパイノーテンでも逆転するので押すところ。
降りた結果西家があがれない場合は多くのケースで逆転されますし、降りた場合も現物1枚なので放銃の可能性がまだ残ることから、現状は押した方がトップが見込め、フリーの順位点ならその方が有利と判断します。
回答者各氏が言及されているように、どこまで押すかは難しいところ。親がノーテン濃厚なら降り有利になることは言えますが、それ以外はどのタイミングで降りに転じるべきかについては、その都度判断する必要がありそうです。
12 スルー 鳴いた場合は西家への直撃のみトップで他は2着、メンゼンでテンパイしてリーチした場合はあがればトップ確定。フリーの順位点なら3着からトップになるアガリの価値は、3着から2着になるアガリの価値の実に3倍。
北家がテンパイ濃厚としても、テンパイにとれば1シャンテンに比べてアガリ率が3倍近く上がるということは考えにくく、精々2倍強止まりとみるのでこの状況下ではスルーします。トップになるアガリの価値が2着になるアガリの2倍止まりの天鳳ルールなら鳴きでしょうか。
13 打リーチ 手変わりが少ないので即リーチを打つ方がアガリやすく、連荘した方が3着のまま終了するよりは順位点期待値で上回るので即リーチ。枚数差があるなら基本シャボよりカンチャンでリーチします。
天鳳ルールだとリーチしづらい点数状況ですが、西家に放銃してラスになる場合はツモられてもラスになる。アガるか流局時ラス目がノーテンなら次局満貫ツモられてもラスにならないので、ダマからテンパイを崩して3確と比べても悪くない。ダマにしても点数状況的に上位者のアガリはあまり期待できないことからそれでもリーチでしょうか。
14 打 良形変化5種程度なのであがるだけなら即リーチの方が上ですが、タンヤオがつくことで逆転条件もよくなるのでテンパイ外します。平場の場合も打点を上げるメリットは薄いとはいえ、良形への変化については祝儀有りの方が、リャンメン以上の待ちの方が、あがった時にツモアガリである割合が高くなることから有力なのでテンパイ外しが悪くないとみます。
こうしてみると、偶然役に頼らない方が逆転しやすいほど逆転手になりやすい手は平場であっても高打点の手を目指すように打ちますし、その逆も言えることが分かります。また、ツモって裏1でも逆転できないような局面なら、祝儀有りの収支戦ならラス目であっても着順が変わらないアガリもやむなしというところ。
つまり、少なくともメンゼンにおいては、平場の手作りとオーラス逆転手を目指す手作りが大差無かったりします。一方、オーラスアガリトップであれば明確に打牌選択が変わるうえに、戦績に与える影響も大きいのですから、「素早くアガリを目指す技術」は、「高打点を狙う技術」よりも重要度も利用頻度も高くなります。
現代麻雀はスピード重視と言いますが、これは現代のルールだからと言うよりは、麻雀というゲームの構造上、素早くアガリを目指す技術の方が重要であるため、結果的にスピード重視の打ち手が勝ちやすいということが現代になってから浸透していったというのが真相ではないでしょうか。