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書きたいときに書ければそれでいい ~「東大を出たけれど」須田良規インタビュー

書きたいときに書ければそれでいい ~「東大を出たけれど」須田良規インタビュー

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近代麻雀で連載されていた須田良規プロ(日本プロ麻雀協会)のコラム「東大を出たけれど」が108話公開されました。

須田プロご自身のnote(※)にて108話1000円という価格で販売した理由や、元々はインターネットの掲示板で書いていた文章が、コラムとして近代麻雀で連載に至った経緯などを伺いました。

麻雀ウォッチでは、5月13日(月)19時より、無料公開分を順次掲載します。

(※)noteとは:文章、写真、イラスト、音楽、映像などの作品を投稿して、クリエイターとユーザをつなぐことができるサービス。ブログやSNSなどと同様に無料で公開することもでき、値段を設定して作品を販売することも可能。

 

某巨大掲示板への投稿を福地誠さんに発掘される

「作品を書き始めた当時は時間があったので、某巨大掲示板に書いていました。そこの麻雀板が、当時は何切る談義とかが盛んなすごく真面目な掲示板で、そこでスレッドを作って文章を書いてたんですね。それをライターの福地誠さんが読んでくれて、当時福地さんはネット麻雀の『雀賢荘』で月2回ほどメールマガジンを配信されていたんですが、そのメルマガに書くのを勧めてくれました。そこでネットで書くのをやめてメールマガジンのコラムを始めました。そしたらそのメールマガジンを読んだ近代麻雀の金本さん(現最強戦実行委員長)から、近代麻雀に書かないかっていうオファーが来たんですよ」

「近代麻雀に何回か掲載していたら、今度は”漫画化しませんか?”って言われて、漫画になりました。当時『戦線スパイクヒルズ』を連載していた漫画家の井田ヒロトさんが漫画にしてくれて連載が始まるんですが、井田さんは麻雀が分からないので、漫画用に原作を書かないといけなくて。話の流れとか牌姿を書いて、それを井田さんがネームに起こす、っていうのを繰り返して単行本3冊分連載しました」

「本当はもう少し続きも書いてましたが、打ち切りになったのかな。その後、珍しいパターンで、漫画の単行本が出たあとに、コラムが書籍化しました。現在は漫画もコラム書籍もどちらも絶版になってますが、漫画に関しては電子書籍なら購入できますね」

 

noteに108話1000円で公開した経緯

「Twitterで書いている嫁とのおかしな話を、まわりから“本にしてくれないか”っていう意見があって、それを福地さんに書籍化できるかどうかを相談したところ」

「今は出版業界も不況で、出版社から本を出すのは難しいと思うとのこと。今の時代は出版社に頼んで本を出す時代ではなく、漫画でもコラムでも自分でネットにアップして、公開したり販売したりするプラットフォームがあるので、その中の1つのnoteを福地さんが勧めてくれたんです。それで、今後日の目を見る事はないであろうと思っていたコラム108話分をアップしました。儲けようと思っていたわけではないし、値段はめんどくさいから100話1000円で、8話分を無料にしました。福地さんには安すぎて営業センスがまるでないって言われましたけどね(笑)。そもそもnote自体がまだ日本全国で市民権を得ているわけじゃないと思うので、2000円ぐらいの値段設定ってちょっとハードルが高いかなと思って1000円にしました。108話っていう話数は、noteって1つのマガジンを100話分しか掲載できないので、8話分を無料、100話分を有料で公開しました。無料版を読んでいいなと思ってくれた方が買ってくれたらなという思いもあります」

須田プロに相談された当時のことを書いた福地誠さんのブログ

 

「麻雀放浪記」と「病葉流れて」は今読んでも面白い

「本ってほとんど読んだことないんですよ。麻雀にはまってるときに、阿佐田哲也先生の『麻雀放浪記』と、白川道の『病葉(わくらば)流れて』っていう小説があって、その2つだけ。今読んでも凄く面白いんですよ。特に阿佐田先生の文章は参考にしてます。あの人の小説って一人称で、もちろんフィクションなんだけれども、自分の経験を元にして書いてる。そんな感じで書けるといいなと思ったので、参考にしてます」

「自分の文章は、工学部出身ってこともあって理系っぽくてかっちりしてると思います。最初にあった伏線はきちんと回収して、意味の無い文章は書かない様にしてます」

「だから普段から本を読むわけでもないし、書いてた訳でもないし。大学の卒業論文は書いたけど、きちんと締切があって何かを執筆するっていうのは『雀賢荘』のメールマガジンからです。竹書房の新卒採用を受けて、一次試験がテーマにそって文章を書いて送ることだったけど、一次で落ちてますしね。全然文章は上手くなかったですよ」

 

ネタがなくなって困ったことは?

「常に毎日ネタを探して生活してました。コラム内の牌姿は自分が印象に残ったものを記録していて、それに印象的なエピソードがあればくっつけるって感じでした。例えば、2000点でかわせるトップ目を追いかけてて、ダマにしてたら、アタリ牌が出たんだけど、ダブロンで追いつけなかったっていう牌姿のエピソードがあるんだけど、それを他の恋愛がらみの話を組み合わせて1話にする感じで作ってるのが多いですね。個々のエピソードは大体本当です」

この牌姿のエピソードはコチラに収録されています。

「例えば、麻雀が下手なラーメン屋のおじさんが、を4枚手の内にして国士無双を回避したっていう話があるんですけど、あれは本当にそういう牌姿になってる別の強い人がいたんです。おじさんも本当にいた人だけど、そのおじさんはそんなに強くないし、たぶんが4枚あったら国士無双の暗カンアガリがあるルールだったから、暗カンして放銃してますね(笑)」

この牌姿のエピソードはコチラに収録されています。

 

今後書籍など発表したいという思いはありますか?

「今『麻雀界』でコラムを書いてるんですけど、書きたいことがあれば書きたくなるじゃないですか。締切に追われて、書きたいことがないときにひねり出すのはあまり好きではなくて。筆がのったときにどんどん書いて、3ヶ月分くらい先に出すスタイルなので、締切を守らなかったことは一度もないです。だから書籍を出したいという思いはあまり無くて、書きたいときに書くことができるプラットフォームがあればそれでいいです」

 

読者にむけて

「若い子はあんまり読んだ事はないだろうし、昔の雀荘の世界っていうのは、あんまり思い浮かばないかもしれないんですけど、読んだことない人に読んで欲しいですね。麻雀小説って全然出回ってなくて、『麻雀放浪記』や『病葉流れて』に後続するものってほとんど無いんですよ。だから、麻雀小説ではないけれども、小説よりとっつきやすいコラムから面白さを知って欲しいですね」

 

インタビューを終えて

掲示板に書いていた文章が、メルマガ、コラム連載、漫画化とステップアップして愛された作品「東大を出たけれど」。須田プロのどこかノスタルジックなセンテンスが、失われつつある雀荘の雰囲気を読者に想像させる。インタビューを終えた後、改めてコラムと漫画を拝読し、麻雀で書く文学の面白さがより広まればと思いました。麻雀界で連載中のコラム「燕雀の志」も必見です。

 

「東大を出たけれど」 全108話 noteはコチラ

 

プロフィール

須田良規(すだ よしき、1975年8月6日 - )島根県出身。東京大学工学部卒業。日本プロ麻雀協会(1期後期入会)A1リーグ所属。第5期 雀王。 近代麻雀で連載されていたコラム『東大を出たけれど』を自身のnoteで108話公開。

 

この記事のライター

麻雀ウォッチ編集部
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