「何を切るか」より、「残った手牌」に着目する
「何切る問題」というくらいですから、手作りを学ぶ際はどうしても、「何を切るか」に着目しがちです。しかし、何を切ればよいかを覚えようとすると、少し手牌の形や局面が変わることで正着が変わるケースに対応しづらくなります。着目すべきなのは「残った手牌」です。
「何切る問題」の一つ一つを暗記するのは難しいですが、「どのような手牌がより優秀か」であれば、覚えることは実はそれほど多くはありませんし、そこを押さえていれば、手牌や局面の変化にも対応しやすくなります。
過去や未来にとらわれず、あくまで現時点の手牌、局面で比較する
高打点の手になるかもしれないのに安手でテンパイするのはもったいないとはよく聞きますが、高打点が狙える手に手変わりして、なおかつアガれるかどうかは可能性の問題です。未来の手牌を想定できることは大切ですが、なるかもしれない理想の手牌を現状の手牌と比較しないよう注意が必要です。
逆に、それまでは安手でも早いアガリでよしという方針で打っていると、その後で高打点が狙えるだけの十分な手材料ができたにもかかわらず、一貫性が無いという理由で、過去の方針にとらわれて早いアガリに固執してしまうミスをしがちです。どこまでいっても現時点の手牌、局面での比較であることを忘れないようにしましょう。
自分が選ばない選択こそ、むしろ贔屓目に見積もる
打牌の理由を考える際、多くの打ち手はどうしても自分の切りたい牌を切るメリットばかりに着目しがちになりますが、いくらメリットを挙げてもそれだけでは打牌理由としては不十分です。必要なのは、「何故他の牌ではなく、その牌を切るのか」です。
他の打牌と比較する際は、自分の選ばない打牌が実際より有利になる想定をしてみることをお勧めします。それでもやはり自分の選んだ打牌がよいのであれば自信を持って正着であると言えますし、どのような局面であれば打牌を変えるべきかについても対応しやすくなります。
直接比較が難しければ、共通の受け入れを比較してみる
打牌比較と言われると、どうしても異なる受け入れを比較しがちになりますが、異なる受け入ればかりに着目すると、「浮き牌を切って変化を逃すのも痛いけど、面子候補を切ってダイレクトに面子が完成する受け入れを逃すのも痛い」といった問題で堂々巡りになりがちです。
このような場合は、「どちらを切っても残る受け入れを引いた時に、どちらの手牌がよいか」を比較すると基準が立てやすくなります。具体例は追々取り上げていくことにします。
打牌基準を覚えるのは、むしろ実戦でいつ基準から外れた選択をするかに思考を集中させるため
打牌基準はあくまで目安。麻雀の手牌、局面はそれこそ無数と呼べるほどあるのですから、簡単な基準だけではどうしても対応できない例外が出てきます。例外にもできるだけ対応しようとして基準をより厳密にしていくと、今度は基準を覚えて基準通りに打つこと自体が困難になります。
ただし、基礎が身に付いてこそ応用問題が解けるようになるように、一定の条件下における打牌基準を確立してこそ、局面の変化にも対応できるというものです。基本的な打牌基準が身に付いていれば、基準通りに打てば事足りる局面は考えるまでもなく正着が選べるのですから、実戦ではその分、いつ基準から外れた選択が有利になるかを探すことに労力を回すことができるようにしたいですね。
勝つためには、労力を割かなくていいところで楽をすることも必要ですが、楽をすることが目的にならないように注意しましょう。
この連載の目次ページを見る