7月の蒸し暑い夜。季節外れの桜を思い浮かべるのは、なぜだろうか。
満開の時も美しいが、散りゆく瞬間にこそ心を打つ。
その儚さに、人は何かを重ねずにはいられない。
GroupC #3は、同日の#1、#2で2着・3着となった4名によって幕を開けた。
東:小西雅
南:齊藤しょあ
西:鈴木楓
北:朝比奈ゆり
小西雅は、シーズン1から4年連続4回目の本戦となる。
園田賢のYouTubeチャンネル「その研 -園田賢の麻雀研究所」のスタッフでもある。イラストも描いており、マルチな才能を発揮している。
齊藤しょあは、プロ2年目でシンデレラファイト初出場。雀魂予選を制し、この晴れ舞台へと駆け上がってきた。
鈴木楓も本戦初出場。黄金世代と称される日本プロ麻雀協会22期だ。ネット麻雀にも精力的に取り組んでいる。
紹介動画では、人生初の釣りで見事に大物を釣り上げている姿が見どころだ。
朝比奈ゆりは、プロ歴2年で第9期桜蕾戦優勝、第16期WRCリーグ優勝と複数のタイトルを獲得している。華々しい実績の持ち主だ。
桜蔭中学校・高等学校を経て慶應義塾大学を卒業後、サイバーエージェントに入社。ABEMA編成部で麻雀チャンネルの担当したことから麻雀の世界に足を踏み入れた、まさにエリート雀士だ。
マッサージが趣味で、紹介動画でマッサージを受けている姿が微笑ましい。
#1、#2までのラス脱落とは異なり、#3では上位2名がBest16に進出となる。
2着目を意識した打ち方が見どころだ。
1日で2種類のルールを楽しめるのも、シンデレラファイトの面白さのひとつだ。
接戦の東場から一転、局面が大きく動いたのは南1局。小西が2600オール、5800とアガり、一歩抜ける。
南1局、2本場。
鈴木が待ちのリーチを宣言。
親の小西は一向聴だったが、を持ってきて降りを選択。
一方、追いかける点数であるラス目の朝比奈は、をチーして聴牌をとるため、筋の
を勝負した。
このに鈴木がロンの声。リーチ・ドラ1の2600は3200となった。
直前に
が切られ筋になってしまったがゆえに、やむを得ない放銃となった。まさに巡り合わせというほかない。
やられたらやり返す。
南2局では朝比奈が鈴木から満貫をアガり、2着と4着の差を1500点まで縮める。
2着争いはさらに激化した。
南4局、鈴木が軽快にを鳴き、混一色を目指す。
親の朝比奈もまだアガリが必要な点数だ。
を鳴き、速度を合わせてタンヤオに一直線にいく。
結果は、なんと4人全員索子の聴牌で流局する。
決着は、まだつかない。
南4局1本場、ラス目の齊藤が条件を満たす門前での混一色・南を聴牌する。
3着目の鈴木も白・ドラ1で条件をクリアする聴牌を入れるため、をチーする。
勝ち抜けに向けた聴牌をとれたと思ったのもつかの間、このが今年のシンデレラファイトで鈴木が切った最後の牌となる。
結果として、聴牌打牌となるこのが齊藤への満貫の放銃となってしまった。
1位2位の小西・齊藤は、Best16への切符を手にした。
朝比奈・鈴木はここで、敗退となる。
シンデレラファイトは、他のタイトルを獲得すると卒業となるため、朝比奈は今年がラストイヤーだったのだ。シンデレラファイト最後の日、若き二冠の意地を見せたが、通過には届かなかった。
鈴木は、解説の綱川プロから「概ね反省点はなし」のお墨付きをもらった。
二人とも悔しさを滲ませながらも、笑顔で大会を後にした。
どんなに輝かしい経歴を重ねても、どんなに完璧な戦略を描いても、卓上では全てが平等になる。タイトルホルダーも黄金世代も、卓上では一人の挑戦者に過ぎない。
この敗退は終わりではなく、新たな季節への序章なのだ。きっと再び、より美しく咲く日が来るだろう。それが真夏であっても、桜は咲くときを知っている。
Day3結果レポート
#1,#2観戦記
香野蘭 麻雀人生旅立ちのとき【シンデレラファイト シーズン4 GroupC #1 担当記者・中島由矩】
卓上に舞い降りた白衣の天使【シンデレラファイト シーズン4 GroupC #2 担当記者・坪川義昭】