前回から他家に点棒を削られ続けてラス目のオーラス。1メンツもない手なので、アガリやすさでは役牌のを残すところですが、鳴いて南ドラ1では逆転できません。もそれほど必要な牌ではないのですが、を引いて678三色が崩れた場合に789三色の可能性を残せます。他家にアガられるとラスのまま終わってしまうので、重ねられる前に切るという観点からも役牌から切ります。
が生きていれば縦ツモでも高め三色で逆転できる以上ドラを切りますが、が枯れているなら三色にならなくても逆転できる可能性が高まる引き変化を残す方がよいとみます。を引いた場合も、即リーチでは西家から直撃して裏1でもラスのままなので、を残してを落とす選択が残る方が逆転しやすいでしょう。
高めツモなら西入からのトップまである手になりました。
東家が最後のツモ番こちらの安めのアガリ牌を切りました。裏が乗れば3着ですが裏無しならラスのまま。順子4つの手で裏ドラが乗る確率はおよそ30%ということは「現代麻雀技術論」でも示した通りです。
ここで無スジを切る以上東家はまずテンパイなので、見逃せば次局以降のチャンスが残りますが、麻雀が4人で打つゲームである以上、特に条件が無くても次局アガれる確率は25%以下。アガって裏ドラにかけた方がよいことは明らかです。
これがもしツモ番が残っていて高めツモの可能性があるならどうでしょか。天鳳特上六段なら4着→3着は+120pt。4着→2着になったとしても+150pt。でロンすれば30%の確率で+120pt、をツモった場合は西入しますが大体2着で終わるものとして+150ptとすると、をツモれる確率が24%もあれば(見逃してツモ裏もあるので)見逃し有利になります。これは流局までツモれることが前提なら、残りツモ9回あればよいことになりますが、この点数状況下でこちらに通っていない牌を切ってくる他家はテンパイしていることも多いでしょうから実際に見逃しをかけることはあまりなさそうです。
乗らなかったのでラスのまま終了。裏ドラ期待のアガリは、裏が乗らなかった時に自らの手で負けを確定させてしまうことになるため抵抗感がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし裏ドラが乗るかも高めをツモれるかも不確定な抽選の領域であることには変わりません。麻雀においては、「確実に勝とう」という考え方は、特に負けている時は避けたいもの。どこまで行っても、「今この時点で最も勝ちやすい選択」を続けるのみです。