麻雀はアガリを目指すゲームですが、アガリの一手前をテンパイ、その一手前を1シャンテン、その一手前を2シャンテンというように、テンパイを基準として、テンパイまでにかかる手数をシャンテン数と呼びます。シャンテン数で言うなら、テンパイは0シャンテン。アガリは−1シャンテンです。
玉を詰ますゲームである将棋においては、手番が回ってくれば詰む、詰みの一手前を詰めろ、その一手前を1手スキ、その一手前を2手スキと言うので、麻雀もその表現にならったのかもしれません。メンゼンでテンパイしたら多くの場合はリーチして、後はアガリを待つだけになることから、テンパイを基準に置いてもあまり差し障りがないというのもあります。「テンパイがゴールではなくアガリがゴール」とも言いますが、このことを意識し過ぎるとテンパイの価値を過小評価しがちになります。
ただ個人的には、テンパイを基準としたシャンテン数より、アガリを基準として、アガリまでの手数で手牌を表す方が望ましいと考えます。将棋をあまり指さない人が「王手」「詰み」という言葉は知っていても、「詰めろ」「一手スキ」となると馴染みが無いように、麻雀も「アガリ」「テンパイ」に比べて「1シャンテン」という言葉が麻雀をあまり打たない人には浸透していないというのが一つの理由です。
他に、アガリまでの手数の方が計算しやすいというのが挙げられます。
面子と雀頭(一つ目のトイツ)を0、ターツと2つ目以降のトイツを1(雀頭が無い場合は余りの浮き牌を1とする)、0と1だけで5ブロックが埋まらない場合は余白に2を書く事で、面子手のアガリまでの手数を足し算で求められます。シャンテン数の計算となるとこの値に1を足すか、面子手の最大のシャンテン数8から引き算する形になるので一手間多くかかります。
また、「2シャンテン以上」と言った場合に、「数が2以上」のように数字の大小を指しているのか、「順位が2位以上」のように優劣を指しているかによって全く逆の意味になってしまうという問題があります。「アガリまで3手以上」「アガリまで3手以下」なら、手数なので大小の意味であり解釈が分かれません。シャンテンでも「シャンテン数が2以上」と言えば大小の意味と分かりますが、言い回しがややクドいと感じるので、今後はこちらで記事を書く際は、「アガリまでの手数」が何手かで統一しようと思っています(とはいえ、10年以上シャンテン数で呼んでいるので、意識しないとごっちゃになりそうですね。)。
※「詰めろ」の一手前を「一手スキ」と書きましたが、「詰めろ」=「一手スキ」が正しいようです。