西暦2XXX年。人類はついに異星人との交信に成功しました。この星でも麻雀によく似た「ジャンマー」というゲームが遊ばれているそうです。
麻雀との違いは面子の作り方。のようにマンズピンズソーズの同じ数3枚の組み合わせ、あるいは、のように異なる風牌同士、三元牌同士の3枚の組み合わせをコーツ。のようにマンズピンズソーズの並び数字3枚の組み合わせをシュンツ。のように異なる色の同じ数2枚の組み合わせ、あるいは、のように異なる風牌同士、三元牌同士の2枚の組み合わせが雀頭。カンは存在しません。手役は一色、カン絡みの手役が無い代わりに、マンズ、ピンズ、ソーズの並びが一致している一盃口、二盃口、三色同順、一気通貫は1翻アップとなります。カンが存在しないので王牌は無く、ドラは別のところから牌を引いてランダムに決められるそうです。
異星人との記念すべき初の交流戦。起家は私。配牌を取ってみると…
天和、四暗刻…と言いたいところですが、今回は麻雀ではなく「ジャンマー」。麻雀に置き換えてみると。メンツ手8シャンテン、チートイツ6シャンテンの最低の配牌。それでもアガリを目指すに越したことはないので、メンツが最も作りにくい三元牌のを切りました。
そうしたら下家の異星人から「ロン」の声。開けられた手牌は。麻雀なら最低の配牌ですが、「ジャンマー」なので単騎の人和、四暗刻。私はあえなく飛んでしまうこととなりました。
展開が良いから次の配牌も良いものが来るだろうというオカルトは未だによく聞きますが、牌に意志があるはずもなく、そもそも牌の並びに良し悪しがあるというのも、あくまでルールでそう決めているというだけに過ぎません。トランプで手札が2枚とも7で、3枚目も7であれば、ブラックジャックなら21で最高ですが、バカラなら1点。相手の手札が0点でない限り負けの弱い手札になります。
不完全情報ゲームには、前局の結果から次局の抽選を予測できるという類のオカルトがつきものですが、少なくともトランプを用いたゲームで、真剣に勝ちを目指そうと学習しているプレイヤーの間では、こうしたオカルトは既に淘汰されていると聞きます。
しかし、麻雀は十分な実力者の中でさえ、オカルトを肯定的に捉える人が未だに少なくないのは、麻雀牌を用いた「麻雀」以外のゲームがプレイされることが滅多にないので、抽選の良し悪しはあくまでルールによって決められているに過ぎないという意識が薄いからではないでしょうか。
善悪の価値観はルールや環境で決まっているというのは、何も麻雀のようなゲームに限ったことではありません。もちろん決まったルールや環境の中で日常を過ごしているお互いですから、価値観を全く無視して生きるわけにはいきませんが、そういった善悪を超えた価値観に気付かせてくれる存在に出会ってこそ、人生はもっと輝かしいものになる。人類が宇宙に飛び立つ時代になっても、相も変わらず麻雀をしている者の戯言でありました。