人生の転機になるほどの経験が、何度あるだろうか。
シンデレラファイトによって人生が変わったのは、歴代の優勝者だけではないのだーー。
本日開幕したシンデレラファイトは、1戦1戦、ラスになった選手が姿を消す「サバイバルマッチ」で生き残りを賭けて戦う。
1位は次戦をスキップしてBEST16に進出、2位と3位は次戦の#3に進出、ラスは即脱落となる。
本戦Day1 #2は、元Mリーガーの丸山奏子、第18期麻雀女王の川上レイ、メガネがトレードマークの小條薫、MJ予選から勝ち上がってきた高橋あかねと、そうそうたる顔ぶれ。
最高位戦日本プロ麻雀協会の丸山、日本プロ麻雀連盟の川上、RMUの小條、日本プロ麻雀協会の高橋。4団体の選手が揃った。
東1局、ファースト聴牌は高橋。
まずはアガって勢いをつけたいところである。
七対子で待ちの3枚山と、手応えのあるリーチとなったが…
高橋のを下家の小條がチー。
高橋の現物であるをとらえてタンヤオ・ドラ1の2000のアガリとなり、小條のかわし手が光る一局となった。
続く東2局、123の3色の小條の仕掛けに対し、大物手を張った高橋がリーチ。
聴牌を狙いにいった川上から出たで小條が三色・ドラ1の2000のアガリ。
2局連続で、高橋のリーチは小條の仕掛けにかわされる結果に。
東4局、トップ目の小條がさらに加点を目指して待ちのリーチ。
2巡後、親の川上が追いかけてと
待ちのリーチ。
2軒リーチに挟まれた高橋。
親の高橋のリーチの一発目、2人ともに通っている牌はない。自身で2枚持っている生牌のか、場に1枚見えている
かの二択となる。
2枚あるで一発放銃不可避と思われたが…
高橋はを選び、親への一発放銃を回避。
この局は小條がをツモり、リーチ・ツモ・ドラ1の1000・2000のアガリとなった。
ここでもし高橋がで川上に一発で放銃していたら、高橋は点差のあるラス目となり厳しい展開となっていた。
を選び抜き、耐えてチャンスを残した。
そして、南3局1本場開始時点での点数状況は、以下。
東家・小條薫50700
南家・川上レイ21000
西家・丸山奏子17000
北家・高橋あかね11300
毎局、自分がマークすべき相手が変わるのが、ラス回避のこのルールの面白いところだ。
ラス目の高橋は丸山をまくることを、3着目の丸山は高橋にまくられないことを意識する。
高橋の配牌は、タンヤオ・ドラ3の満貫を目指せる好配牌。序盤から仕掛けていく。
自身の風牌のが暗刻となった丸山。
が出た同順、今のうちに危険牌の
をリリース。
そのを高橋がチーして手を進める。
イーペーコー・西で聴牌していた丸山の手にきた
丸山は高橋の役を考える。
役牌は丸山から見ると全部消えており、タンヤオと想定できる。
丸山からはが4枚見えており分断されていることを考慮すると、高橋が聴牌していた場合に当たる可能性のある残りの筋は、
、
、
、
と限られてくる。
はカンチャンもあり、かなり危険な牌に思えてくる。
丸山はを切り、
を切らない選択をとる。ラス回避のための華麗なる耐えだ。
切らなかったを重ね、丸山が粘りの七対子を聴牌。
ツモ・七対子の800・1600は900・1700のアガリを見事決めた。
プロ7年目でラストイヤー、最初で最後のシンデレラファイト出場の丸山が、ラス回避の決め手を手繰り寄せた。
南4局では丸山がタンヤオの1000をアガり決着、以下の結果となった。
1着 小條薫
2着 丸山奏子
3着 川上レイ
4着 高橋あかね
「麻雀人生の分岐点は?」という事前アンケートに「おそらく今になる」と答えていた小條が、トップをとりBest16に進出。まさに、今日が分岐点となった。
2着の丸山、3着の川上は♯3で再び戦う。
ラスの高橋は無念の敗退。
随所で鉄壁の守備力を見せつけた高橋だったが、今回はぴったりのサイズのガラスの靴が届かなかった。深々とお辞儀をして会場を去る。
実は、高橋が麻雀プロになったきっかけは、一昨年のシンデレラファイトシーズン1なのだ。
シーズン1を観て私も出たい!と思いプロになった高橋もまた、シンデレラファイトで人生が変わった一人である。
リーチをかけても、好配牌がきても、かわされ続ける。そんな日もある、では済ませられない。
昨年のシーズン2では、同点席順での脱落となってしまった高橋。今年こそ、まずは今日ここで、勝ちたかったのだ。
ここで、元英国首相のウィンストン・チャーチルの名言を紹介したい。
「成功とは、失敗から失敗へと情熱を失わずに進むことだ」
勝負の世界に引き分けはない。敗者がいない試合もない。
ただ、どんな試合も未来への道しるべとなる。
今回敗れた高橋も、対局後のインタビューでファンに向けて明るい姿を見せてくれた。
下を向いている暇はない。
そして、シンデレラファイトシーズン3は、まだ序章に過ぎない。これからどのような劇的な展開が待っているのか、目が離せない。