- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
- ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。
- 第1回から読みたい方は、目次からご覧ください!
当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
78p 受け入れ枚数に差が無いターツ同士の比較なら、信頼度が低い山読みであっても頼るに越したことはないですが、平面上の受け入れで明確に差がつく場合は、今回のように全員に使われてなさそうと読めて初めて判断を変えるくらいがよいでしょう。これがリャンメンとカンチャンになれば、リャンメン側が他家に使われているところまで読める必要があるとみます。「使われていない」は序盤から周辺が切られているというだけでも読めますが、「使われている」は待ち読みの時のように特定の牌姿を想定できるような強い情報が必要になります。
79p とあれば早い段階でが切られますが、をツモったらが切られないというように、内側の数牌が山に残っているかどうかの読みは巡目が深くなるにつれ信頼度が下がります。また、(他に雀頭有り)なら早い段階でが切られるというように、一見山に残ってそうな牌がアンコで固められていることも少なからずあります。全体の受け入れ枚数が少ないほど、受け入れ枚数1枚ごとの価値が高いことも踏まえると、78pの場合とは異なり、こちらは見た目の受け入れ枚数を優先した方がよいとみます。
リーチの現物待ちという理由で一旦ダマにした後、合わせ打ちされなかったことから山に残っている可能性が高いとみてリーチに切り替えるといった選択も考えられます。を切っている他家はを持っていないというだけでなく、他にマンズを持っているとしても限定されるので手牌構成を読みやすくなります。打点を上げるためでなく、他家に手牌構成を読まれづらくすることでアガリやすくするためにも、浮いたドラでもまずまず手牌で使えそうなら安易に切らない方がよいとも言えそうです。
81p と何かのシャンポンまでは容易に想定できますが、後重なりでなければ生牌であること、リャンメンをシャンポンに固定するような手順は考えにくいことから、片割れのシャンポンも結構絞れることがあります。特定の手牌構成を想定する読みと消去法による読み。一度に両方が要求されます。個人的に片割れを安易に切って放銃して苦い思いをすることがよくあるので意識を強めたいところです。
83p 役がトイトイだけならに代わる安牌か重なり狙いの浮き牌を残されそうなものなので、役牌がトイツ以上で、はフォロー牌であったことが想定できます。逆に言えばトイトイに決め打たれている場合は早い段階でシャンポンに固定されている場合もあるので、「テンパイ以前に切られた牌の外側だから通る」ではなく、「トイトイだったら当たりうる」ことを踏まえて押し引き判断する必要があります。
86p がフォロー牌のケース、ターツの一部のケース両方を想定する必要があることは、本書をここまで読み進めていればすぐに思いつくところですが、「が放銃牌の場合はドラが雀頭で満貫」であることにすぐ気付けた人は少ないのではないでしょうか。押し引き判断のうえでも、放銃時に何点になるかは切る牌の放銃率以上に影響します。仕掛けが毎回ドラが固まっていると考えると引き過ぎになりますが、ここで振るならドラが固まっていると読めるケースもあるということは意識しておきたいものです。
リツミサンの『超メンゼン主義麻雀』
小さい上がりをリスクを回避しながら積み重ねていくのが良しとされる天鳳。平均フーロ率3~4割が当たり前という中にあって、フーロ率2割2分という驚異的な少なさでハイアベレージを続けている異色のプレーヤーがいます。それがリツミサンです。
鳴かなければ手牌が複雑になり、より正確な状況判断能力や読みの力が要求されるのが麻雀。リツミサンの麻雀の特長はまさにその正確な状況判断と読みの確かさにあります。本書でリツミサンが何を、どう考えて麻雀を打っているか、その全貌を見ることができます。
また、「ミスからどのように学べるか」「読みは相手より自分の手を見返すほうが効率よく学べる」など、上達のアドバイスが随所に書かれているのも本書の大きな特長。 一冊を通して読めば、これまで自分が考えたことがなかったような麻雀の捉え方や新しい選択肢が必ず見つかるはずです。