- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
112p ミスの種類を「認知」「判断」「打牌」のステップを踏まえて考えるなら、「場の情報を見えてないが故の認知ミス」「知識が不足しているが故の判断ミス」「肉体、精神的疲労からくる打牌ミス」の3通りに分けられます。
人間の直感は日常生活では時として驚異的な能力を発揮しますが、計算を伴う思考ゲームとなると、時折この直感が原因でかえってミスをしてしまうこともあります。このミスを埋め合わせるために必要なのが、麻雀というゲームの持つ性質を知り、体に身につけることです。
知識を身につけることで上達すればそれだけミスも減らせますが、それでも思考が直感から完全に自由になれるわけではありません。それ故、どれほど上達したとしてもミスは起こります。しかしながら、失敗を経験してこそ、何故ミスをするのか、どうすれば減らせるかに気付くことができます。本書にある通り、成功するためには失敗が欠かせないものです。
119p まずは打牌判断の為の基礎的な知識を身につけることですが、次に行うのが、ミスに限らず、実戦における自分の選択を記録する癖をつけることです。「麻雀徒然草第34回」でもお話しましたが、強くなれる人ほど具体的な選択の話を好み、そうでない人ほど選択以外、抽選や結果の話ばかりしがちです。強い人の打牌選択をいきなり真似するのは難しいことですが、強くなっている人の麻雀に対する姿勢を見習うだけでも、自然と実力がつけることができると私は考えます。
注意力を自分の打牌選択に影響する場況に向けるというのも重要です。抽選や結果の話をしてはいけないということはありませんが、人間のリソースには限界があるので、麻雀に勝つための選択に影響しない情報ばかり意識していると、それだけ正着に気付けずミスを積み重ねる原因になります。
数あるオンライン麻雀の中でも、天鳳ユーザーに上達する打ち手が多いのが、天鳳のシステムが極めてシンプルなので、「勝つために何を切るべきか」以外の情報に目が向きにくいというのもありそうです。麻雀で強くなりたければ、より良い選択のためにどうすればよいかについて、互いに話し合える麻雀仲間がいる環境に身を置く事をお勧めします。
123p 昨今の戦術書で麻雀を熱心に勉強されている方は、「正解」の打牌が結果的に裏目に出ても仕方ないと受け入れ、「後知恵バイアス」に陥らずに済む方が多いと思います。125pに関しては、確かにトイツ落としから親の手が早く、ドラ表示牌が早いことからドラを固めているケースが想定できなくもありません。しかしトイツ落としの直後にテンパイして、なおかつダマでも高打点というのはやはりレアケース。ダマテンでないのであれば東を残しておかないと将来テンパイした時に安牌に窮しやすいことも踏まえると放銃はやむなしでしょう。
しかし、結果論だから仕方ないと決めつけてしまうと、認知の段階でミスがあって別の打牌が正解だったケースや、全く想定していなかった有力な選択肢があったことに気付けないケースを見落としがちになります。126pのケースは、「真っ直ぐ押すとベタオリのの2択」と考えがちなので、受け入れをあまり狭めないうえに比較的通りやすく、通す事で安牌が増える切りという「第3の選択肢」を見落としがちになります。打牌判断はシンプルにしておかなければ「後知恵バイアス」に陥りがちですが、選択肢自体は広く持っておくことをお勧めします。気付けなかった「正解」に気付くためにも、一旦時間を置いてからの牌譜の見返し、実力者との牌譜検討をお勧めします。
リツミサンの『超メンゼン主義麻雀』
小さい上がりをリスクを回避しながら積み重ねていくのが良しとされる天鳳。平均フーロ率3~4割が当たり前という中にあって、フーロ率2割2分という驚異的な少なさでハイアベレージを続けている異色のプレーヤーがいます。それがリツミサンです。
鳴かなければ手牌が複雑になり、より正確な状況判断能力や読みの力が要求されるのが麻雀。リツミサンの麻雀の特長はまさにその正確な状況判断と読みの確かさにあります。本書でリツミサンが何を、どう考えて麻雀を打っているか、その全貌を見ることができます。
また、「ミスからどのように学べるか」「読みは相手より自分の手を見返すほうが効率よく学べる」など、上達のアドバイスが随所に書かれているのも本書の大きな特長。 一冊を通して読めば、これまで自分が考えたことがなかったような麻雀の捉え方や新しい選択肢が必ず見つかるはずです。