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ネマタの戦術本レビュー第1206回「『世界最強麻雀AI Suphxの衝撃』編 その24 著:お知らせ」

ネマタの戦術本レビュー第1206回「『世界最強麻雀AI Suphxの衝撃』編 その24 著:お知らせ」

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ネマタの戦術本レビューとは
  • 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
  • ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。
  • 第1回から読みたい方は、目次からご覧ください!

当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるもの、または更に掘り下げたい部分等を取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。

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第4章 序盤の方針

3.一色手順

①打点低下の変化は不要

麻雀は1アタマ4メンツを作るゲームですが、メンツ候補が揃っていれば多少待ちが狭くても一定のアガリ率が見込めます。逆に言えば、そこから手広くなる変化が豊富にあったとしてもさほどアガリ率は上昇しません。

それなら限られた変化であっても打点が上がる牌と、スリム化のための牌を優先しようというのがSuphxに見られる手筋。特に一色手における字牌は打点と守備両方を兼ね備えているので優秀です。この辺りは人間の上級者には常識的でも、従来のAIが苦手にしていた分野だけに、Suphxが事も無げにホンイツ移行の手順を踏むのはまさに衝撃的でした。

②何を見切る?

こちらで取り上げました。他の手順は自然と選べそうですが、個人的に最も迷いました。ホンイツだけでなく七対子も高く評価しているが故の選択と言えそうです。

③全体役と部分役

手役を見る意義は打点だけでなく、1翻縛りを解消すること。特に役牌ドラは一度鳴くと他家に絞られやすく、役牌ドラ雀頭でもホンイツがつけばちょうど満貫に届くので変化を残すメリットが大きいと言えます。このあたりの評価をどのように判断したうえでSuphxがこの選択を取っているのかは興味深いものがあります。

④リーチを残す

あたりを切ってを引いたとして、更に中張牌を切るよりはを切ってリーチ手順も残したいところ。一色の牌をもう1枚引いても一色手に決め打たないケースがあるなら不要になりやすい字牌切り。一色手でテンパイした際に、決め打った形跡が無い方が他家から警戒されずアガリやすくなるという効果もあります。

⑤メンホン決め打ち

今度はを切ってホンイツに決め打たなかったとしても、メンホンが近過ぎるが故に次にどのマンズを引いても切り出すのは。それなら重なりを残すに越したことはないですね。一色手を初めとした手役作りの手筋は『天鳳公式完全攻略読本』でもまとめましたが、本章はあたかもSuphxがこの本の手筋に沿って打っているように見えて何とも感慨深いものがありました。

⑥一色を見せるということ

鳴くと満貫止まりで、他家に一色手を警戒されていかにもアガリにくそうな残り2枚のペンが残る1シャンテン。鳴かなければ狭いとはいえリーチで跳満、待ち頃の字牌単騎が残るチートイツ1シャンテン。私も鳴かないのが好みですがどのように優劣を評価するのかが難しいところ。他家の警戒度合いでどう判断が変わるのかも気になります。このあたりも今後の研究課題と言えそうです。

世界最強麻雀AI Suphxの衝撃

世界最強の麻雀AIを人間のトッププレイヤーが本格解説!

2019年6月、麻雀AIで初めて天鳳十段に到達し話題をさらった「Suphx」(スーパーフェニックス)。

天下のMicrosoft社が麻雀という不完全情報ゲームに殴り込みをかけてきたのです。「Suphx」の強さはもはや人間のトップレベルに達しており、他のボードゲームがそうであるように、麻雀も「AIから学ぶ」時代に突入しつつあります。

本書はその端緒となるもので、最強のAIである「Suphx」を人間界のトップといえる天鳳位を獲得したお知らせ氏が徹底的に解説するのものです。

お知らせ氏の筆致は処女作である『鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム』で証明されたように緻密にして正確無比。「Suphx」の打牌を咀嚼し、人間の知として昇華する上でこれ以上の適任はいないでしょう。

ぜひ本書で「Suphx」の強さの秘密と、麻雀というゲームの深淵を味わってください。

●目次
第1章 強くなること
第2章 スタンダードな押し引き
第3章 中盤のスリム化
第4章 序盤の方針

●著者プロフィール
1989年9月18日生まれ。
神奈川県横浜市出身。東京大学工学部卒。
第14代四麻天鳳位。
著書 「鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム」(マイナビ出版)

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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