愛くるしい笑顔が魅力的な鈴木桃子
プロ3年目。初年度から2年連続昇級し最短で日本プロ麻雀協会の女流Aリーグまで上り詰め今回シンデレラへの階段も一気に駆け上がるつもりで臨んだ。
舞台女優としても活躍しており物怖じしない堂々たる立ち振る舞いとそのキュートな笑顔。その反面、対局中の真剣な眼差しに魅了される人も多いだろう。
そんな明るい彼女が初めて見せた涙とは。。。
GroupB#1
東家:鈴木桃子
南家:安藤りな
西家:大川佳弥乃
北家:高島芽衣
全9局。
全てアガリで終局しており流局が1回もない。
40分に満たない白熱したスピードバトルとなった。
【東2局】
開局1300点の放銃となった鈴木桃子。先ほど親番が流れてはしまったが、親番での失点にしては可愛いもの。まだ形は苦しいが配牌にはがある配牌をもらう。
「これをアガればすぐに点棒は戻ってくる」
本人の前向きな気持ちに応えるよう6巡目にイーシャンテン。ポンでテンパイも取れる形。ここは先制を取りたい。
しかし高島芽衣も既にイーシャンテン。こちらも打点・手形共に十分だ。
11巡目、先に高島芽衣にテンパイが入る。待ちは
追いつきたい鈴木桃子…しかしテンパイまで辿りつく前に高島芽衣の2000.4000のアガリとなった。
高島芽衣は2局連続のアガリで嬉しい加点となった。
自分の店MaýsBarではお客さんが応援してくれている。一緒に働く酒寄美咲プロは昨年決勝で惜しくも敗れた。彼女の雪辱を果たすためにも、ここで敗退する訳にはいかないのだ。
【東3局】
既に河に
が3枚並んでおり苦しい所が埋まった安藤りな。これでイーシャンテン。ストレートに
とせずにより高みを目指し打
。この選択が後に彼女を救う一手となる。
次巡、大川佳弥乃が順調に手を進めてカンのダマテンのテンパイを入れた。
ロンでも7700点。ツモれば4000オールの大物手。
12巡目安藤りながツモってきたのは…だ。
先ほどカンの受け入れを残し先に打
としていればこの
はダマテンを入れている親の大川佳弥乃に放銃となっていただろう
構想通りをトイツ落としし、タンピンへと向かう
自身ツモあと1回のところで安藤りなにもテンパイが入る。
見事最終手番で
ツモ・タンヤオ・ピンフ・ドラ・赤の2000.4000をツモりあげた安藤りな。
彼女のスケールの大きさを感じさせる見事な一局であった。
【東4局1本場】
「リーチ!」まだ他の選手の手がまとまる前に先に発声が聞こえた。
親番ではチャンス手をものに出来なかった大川佳弥乃だ。
常勤のファイヤーバードでは店内でみんなが応援し見守ってくれている。
ここはアガリを決めたい。
この時、山に残っているのはがただ1枚。
しかも眠っているのは大当たりのだ。
リーチを受けて現状トップ目の親番、高島芽衣。
嬉しいカンを引き入れたが…ここはイーシャンテンに取らず!打
とし完全におりに徹したのだ。
トップは通過。ラスは即脱落。4年連続出場し、シンデレラファイト特有のルールを理解している彼女らしい打牌が生み出される。
結末は…
見事大川佳弥乃がラス牌のをツモり上げ裏ドラものり
リーチ・ツモ・ドラ・赤・赤・裏の3000・6000のアガリとなった。
スポンサーでもある常勤のファイヤーバードからの大歓声が筆者の住む北海道まで聞こえてきた。
【南1局】
自身は1300点の放銃しかしていないが各者が高打点のツモでラス目となってしまった鈴木桃子。この親番だけは…祈るような気持ちで配牌をあける。
7巡目。手は進んできたがまだターツが足りない形
「早く…早くテンパイに…」
無情にも安藤りなから先制リーチが入る
「もうリーチ?最後の親番なのに…早く…早く追いつきたい」
思いが通じたのか残していたに見事
がくっつく。
無筋のを押し。イーシャンテン。
鈴木桃子の手が止まる。苦しい表情を見せる。
持ってきたのは無筋の…
通っていなく2筋にかかる危険牌だ
「ここでの3着目への放銃は一人だけ沈んでしまう…
おりて親が落ちてもあと3局で3着に浮上する可能性も…』
葛藤の間が流れる
しかし、現状ラス目の最後の親番。自身も形の良いイーシャンテン。
覚悟を決めた鈴木桃子。このも押す!
その次巡、を引いて。待望のテンパイ。
前巡を押したときに覚悟を決めていた鈴木桃子。
ドラのをノータイムで切り「リーチ!」
待ちは…なんと安藤りなと同じだ!!
山には残り3枚
鈴木桃子か…安藤りなか…
祈るようにツモる鈴木桃子
親に追っかけられ内心は平常ではないだろう安藤りな
両者のツモに気合が入る!!
決着は…
安藤が高めのをツモりこれが裏3
リーチ・ツモ・タンヤオ・イーペーコー・裏3 3000・6000のツモアガりとなった
「それ…私のアガり牌…」
開かれた手を見て同じ待ちを引き負けたことがわかり
悔しい表情が隠せなかった。
あと3局で何とか和了って3着へ…
焦る気持ちとは裏腹に相手のテンパイが早くことごとく当たり牌を掴んでしまう。
3900点の放銃。12000点の放銃。箱下6300点まで沈んでしまう。
【オーラス】
鈴木桃子が残る条件は3着目も高島から倍満直撃。
国士無双に向かうもトップ目の安藤りなが下家でタンヤオの仕掛けが入る。
簡単に牌をおろす事が出来ない。
しまいには3着目の親の高島芽衣からもリーチが入る。
彼女にとって長く苦しい最終局となった。
最後は親のリーチにも屈しず見事自身のアガリでトップ通過を決めた安藤りな。
北海道から対局に通うのは時間もお金も体力も使う。
ラストイヤーで北海道にガラスの靴を持って帰るために覚悟を決めて臨んだ#1。
対局中は一切表情を変えない彼女も安堵の笑みを見せた。
反省会で鈴木桃子は
「麻雀負けてこんな悔しい思いをしたのは初めてだ」と。
全9局。鈴木がテンパイ出来たのはたった1局。歯を食いしばって押し切った唯一のテンパイ。しかし結果は同じ待ちをで引き負ける。
彼女にとって苦い1日となってしまった。
いつもの天真爛漫な笑顔から始まるも
最後は悔しい気持ちがこみ上げてきて涙を見せた。
まだ、3年目。
この悔しさが彼女をもっと強くさせるだろう。
あの素敵な笑顔でこの日を笑って話せるように
鈴木桃子のシンデレラストーリーはまだまだこれからである。
Day2結果レポート
#2,#3観戦記
オーラスに待っていた大きな落とし穴【シンデレラファイト シーズン4 GroupB #2 担当記者・中島由矩】
背を向けることの許されないオーラス、捲り合いの果てに【シンデレラファイト シーズン4 GroupB #3 担当記者・坪川義昭】