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人生で最も7ソーが欲しかった夜【シンデレラファイト シーズン4 Final 内村翠視点 担当記者・神尾美智子】

人生で最も7ソーが欲しかった夜【シンデレラファイト シーズン4 Final 内村翠視点 担当記者・神尾美智子】

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SemiFinalからFinalまでの1週間、どんな気持ちで皆様はお過ごしでしょうか?
どこか浮足立ち、そわそわドキドキしていたのは私だけではないはず。

半年続いたシンデレラファイトもとうとう今夜、優勝者が決まる。
シンデレラファイトFinal——この響きが持つ特別な重みを、四人は誰よりも理解している。

勝ち上がってきた全ての戦いは、今日この日のためにあったのだ。
ガラスの靴を掲げるシンデレラを決める、運命のFinal 2半荘が始まった。

内村の完全試合かと思われた#1

#1は、2局連続の流局で静かに開幕した。
東1局2本場、内村のリーチ・赤2、5200は5800がFinal初のアガリとなる。

東2局、内村は絶好の赤[赤5]を持ってくる。
タンヤオ・赤2の形に組み上げた内村は[四]をチーし、[四][七]待ちの聴牌をとる。
直後、親の高島が[①][④]待ちのリーチをかける。

内村は一発目に、一切迷わず[⑤]を颯爽と切っていく。
それに山が応えるかのように、高島が[七]を掴み、内村の3900のアガリとなった。
東3局、配牌から[発][中]が対子なのは内村。[発]をポンしていく。

[4]をチーし、[中]もポン。あっという間に[三]待ちの聴牌となった。

ピンズの染め手の高島から出た[三]でロンとなり、[発][中]の2000のアガリとなった。
ここまでアガっているのは内村ただ一人。冷静な表情で場を支配する姿は、まさに王者の風格だった。

内村は、BEST32、BEST16、SemiFinalを全て1着で通過しFinalまで駆け上がってきた。
「完全試合で制するかもしれない」——そんな期待を視聴者も思っていた。そう、東3局までは。

明確に流れが変わったのは、東4局だ。
まずは齊藤が[⑤]待ちのリーチをかける。

ドラの[南]を重ねていた高島が聴牌となり、[7]待ちの追っかけリーチを敢行する。

齊藤が最後の[7]を掴み、放銃となる。なんと裏が乗り、リーチ・七対子・赤・ドラ2・裏2の16000。
ここまでリーチが実らず放銃となっていた高島が、一気に息を吹き返した。

南場に入り、高島が連続でアガリを決めて猛追し、#1は高島がトップ、内村は2着という結果になった。

「楽しんできます」——試合前にXで投稿していた内村。緊張せず、攻めの姿勢を崩さない様子が印象的だ。

1戦目が2着なら、次でトップを獲ればいい。対局の合間の控室での様子からは、そんな余裕さえ感じられた。

何度だって捲り合う#2

泣いても笑っても、あと1半荘。

#2開始時のスコア状況は以下の通り。
東:内村翠 +13.5
南:梶梨沙子 ▲17.3
西:齊藤しょあ ▲54.4
北:高島芽衣 +57.2

内村は#2でトップをとれば高島が3着以下なら優勝、もし2着が高島の場合は3800点差が必要という状況だ。

東1局1本場は三人がバチバチに攻めた局となった。
親の内村は、[7]待ちの一気通貫・赤を聴牌し、ダマテンに構えた。
[7]は誰から出てもおかしくない。

高島がネックだった[6]を引き入れて追いつき、[①][④]待ちでリーチをかける。

[3]を持ってきた内村は考える。

無スジの[3]を切って一気通貫続行か、現物の[9]を切って一盃口か、中スジの[⑤]を切って清一色への移行か。
内村は[3]を切ってリーチを宣言。強気の選択を敢行した。

直後、齊藤も聴牌し、[3][6]待ちでリーチをかける。

三人での捲り合いだ。
結果は、齊藤がドラの[①]を掴み、高島への満貫の放銃となった。

このアガリで高島がトップ目となる。
他三人は、高島の着順をなんとかして落とさなければ、自身の優勝はない。

東4局5本場、親の高島が[③]待ちの一気通貫をダマに構える。

ピンフ・ドラ2で[六][九]待ちの内村が、反撃の狼煙を上げるリーチをかける。

内村はこれをアガればトップ目で南入だ。ツモってくる牌に力が入る。

高島は無スジの[⑤]を持ってきて、現物の[①]切り、一旦聴牌を外す。

直後、高島は内村の当たり牌の[六]を吸収し、ダブルワンチャンスの[⑨]を放ち、再度聴牌をとる。

トップ目の高島と2着目の内村、どちらがアガれるか。

結果は二人聴牌の流局となった。
満貫確定のこの手をアガれていれば…。高島からの直撃とまでは言わずとも、ツモって高島の親被りでも充分だった。
思うところはあるはずだが、内村は表情に出さず戦い続ける。

内村が高島をトータルスコアでまくるには、内村がトップかつ、高島が2着目の場合は点差が3800点以上必要だ。
南2局2本場開始時、必要な点数はあと16400点。満貫を2回アガりたい。

形が整ってきた高島が、[西]をポン、[2]をポンし、前に出る。
他家からリーチが来る前に、高島は[⑧]待ちの聴牌となった。

内村は、喉から手が出るほど欲しい[8]を持ってくることに成功する。

[③]を切って[①][④]待ちにとると、[④]なら123の三色同順・ドラ1となる。[①]ならドラ1のみだ。
リーチをするかダマテンか。
内村はリーチを選択し、2副露している高島との一騎打ちに臨んだ。

内村のリーチ直後、内村の現物の[⑧]が親の梶から放たれ、高島のアガリとなる。
内村は、捲り合いさえさせてもらえなかった。

南3局、梶が齊藤の[③]を見逃し、ターゲットである高島から満貫の直撃をとる。
この場面は、高島視点の観戦記で詳細が語られているので、ぜひこちらも合わせて読んでいただきたい。

高島から梶への放銃で、梶は倍満ツモ条件を残した。しかし、梶以上に嬉しいのは実は内村だった。
南4局の内村の条件は、高島から7100以上の直撃か、ツモなら跳満からだ。
他家からリーチ棒が出れば、満貫ツモ条件も残る。
非常に現実的な条件だ。

内村が4代目シンデレラに届くのに必要なのは、あと跳満ひとつ。
南4局0本場、5巡目の内村の手牌はこちら。ドラは[5]だ。

ピンフ・三色同順・ドラ1ならリーチしてツモれば条件クリアだ。
ピンフ・一盃口・ドラ1でも一発や裏に期待できる。
ピンフ・ドラ1のみは不要だ。
内村は[三][二]を払い、この場面での最善を選び抜く。

ダブドラの赤[赤5]と赤[赤⑤]が配牌からあった高島は、[3]をチーし、アガリに向かう選択を取る。内村に現実的な条件が残されている以上、一度12000をアガっておこうという意思だ。

このチーで、直後に内村が一番嬉しい[六]を持ってくる。

この瞬間、最もシンデレラに近かったのは間違いなく内村だった。

あとはリーチをするかどうか。
リーチをすれば、三色同順になる高めの[7]ならツモはもちろん、高島と梶からの出アガリでも問題ない。
安めの[4]はツモなら一発か裏1条件、出アガリは高島からの直撃のみ。
ダマテンなら、高めの[7]はツモと高島からの直撃のみ。梶と齋藤からは見逃し前提だが、自分の手番を経過すれば高島からの直撃チャンスが残る。
安めの[4]はツモ、出アガリともに不可。

高島が仕掛けてアガリに向かっている今なら、ダマテンなら高島から[7]が出るかもしれない——。
勝利への思いをめいっぱい込めて、内村は聴牌打牌をそっと縦に置いた。

高島も[三]を引き入れ、[④][⑦]の聴牌となる。

またもや、高島と内村の捲り合いだ。
今度こそ、今度こそ。

内村の必死の思いも虚しく、高島から「ツモ」の発声。

高島の4000オールのアガリだ。
内村の眼の前にあったガラスの靴が、遠ざかった瞬間だった。

南4局1本場は流局し、ガラスの靴は高島が掲げた。

実は、内村はFinalの#1、#2ともに一度も「ツモ」と言えていないのだ。
出アガリも嬉しいが、優勝するにはやはりツモが必要——それを痛感させられる結果だった。

「この局さえアガれていれば...」そんな展開が多かった#2だった。
試合後の内村は、完全に全てを出し尽くした表情だった。

「また来年もここにきます」

準優勝の内村は、多くは語らずその言葉だけ残した。

Final各選手視点観戦記

包囲網ヲ突破セヨ!【シンデレラファイト シーズン4 Final 高島芽衣視点 担当記者・中島由矩】

公式HP

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