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ネマタの戦術本レビュー第68回「強者の最新手筋100 著:比嘉秀仁 その16」

ネマタの戦術本レビュー第68回「強者の最新手筋100 著:比嘉秀仁 その16」

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第五章 テクニック総合

 

1 打リーチ リーチしてツモ裏条件でトップなのは打リーチでも同じですが、場にピンズが安くソーズが場に高いのでピンズが待ちになるように受けます。見た目のアガリ率、打点に大差ないので場を見てアガリやすい待ちを残すということは実戦では多々ありますが、だからといって手牌だけの何切る問題を解く意味がないというわけではありません。むしろ、特に条件が無いなら一応これを打つのが最善だが、他の選択でも大差ないという手牌に関する知識を身につけてこそ、場や点数状況に応じた判断がスムーズに出来るようになるというものです。

 

2 見逃し (回答者に出題された時点では南家の国士の可能性がある局面だったのかもしれませんが)、4枚見えなので国士はなく、ドラもほぼ見えているので、見逃して下位者に高打点の手をあがられる可能性は考慮しなくてよい局面。現状は6000オールでも2着終了ですが、流局して西家がノーテンなら次局は6000オールで逆転、トップになれる確率もかなり低いとはいえラス落ちはほぼ無く、3着落ちよりはトップの可能性が高いので、麻雀順位計算機によると2着確定のアガリをするよりは段位pt期待値で上回ります。よってここでは見逃し。次巡はリーチして一発ツモ裏や裏2以上のまさかの8000オールの可能性を残しつつ、西家を降ろしての流局連荘狙いとします。ただしダマでツモっても北家を飛ばして2着終了である以上、テンパイ時点で即リーチした方がよかったかもしれません。フリーならトップの価値も高くなりますが、元々トップになれる確率は低い以上、12000の素点も大きいのでロンするのが無難でしょうか。今回は見逃しとしましたが、実戦ではリスクが大きいケースが多いので、低確率のトップを目指してまで見逃す局面は稀であるということは意識しておく必要はあります。

 

3 打リーチ を切ってリーチしてもはスジ待ちで、面子手だとすれば悪形にも当たりづらいところ。一般論としては、他家から待ちが読まれにくいスジ待ちに関してはリーチでもダマでもアガリ率に大差ないところ。元々降り気味に打っている他家からはダマでも出ないところなので、打点を上げるメリットの方が大きいとみてリーチでしょうか。

 

4 打 くっつきで678三色になる形で、良形、高打点になる手変わりが共に豊富なためテンパイ外し。問題は打と打の比較。一見ドラなので打ですが、タンヤオもドラも1翻、がそれぞれ残り2枚、ツモであがると678三色にならないことから、実は残しの方がくっつきとして強い。を切っているのでツモは打の方が勝りますが、それでも単騎の仮テンに受け手変わりを待つのが、安めでアガリやすい待ちリーチに比べてもそれほど悪くないので打でしょうか。使いやすいドラを切ったうえでテンパイに取らない選択というのは盲点になりやすいものです。

 

5 打 打としてメンゼンでテンパイしてリーチすれば最低でも6400の手。鳳凰卓七段配分(順位点2−1−0−▲3)として、東風戦で東1に子の8000を上がると、麻雀順位計算機によると順位点期待値は約1.34。役満をあがれば必ずトップとしても順位点期待値は2なので、順位点のうえでは役満の価値は満貫の1.5倍程度。鳴くと安くなりますが、打として鳴かない前提でも打に比べて明確にアガリやすい。これならツモの場合でも、ツモって初めて役満になるシャボより、ダマでもサンアンコで満貫、ツモなら跳満になる待ちが残る方がよいとみて打とします。

 ちなみに東南戦であれば、東1に8000を上がった場合の順位点期待値は約0.84。役満が満貫の2倍以上価値があるなら打も悪くないところ。フリーであれば素点に加え祝儀まであるのでこれなら明確に打でしょうか。点数状況が平たく残り局数が十分にあっても、最高形を目指さなくてもアガれば高打点の手が狙えるような手牌、言い換えれば、アガリさえすれば点数状況が平たくなくなるような手牌の場合は、ルールによって打牌選択が変わるケースも多々あるということが言えます。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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