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ネマタの戦術本レビュー第211回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その18」

ネマタの戦術本レビュー第211回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その18」

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例題36

 オーラスラス目だと、自分の加点以外はラス終了だからアガリを目指すしかないと思いがちですが、横移動や親かぶりによるラス回避も有り得ます。今回は競争相手の東家がリーチしたことで、東家の2000点放銃、他家の満貫ツモでもラス回避できるようになりました。ここからアガリを目指してもあがれる可能性はかなり低く、北家があがることによってラス回避が現実的に期待できるようになったのでここではアシストするのがよさそうです。

 本書で言及されているほどの手牌読みを限られた時間でこなすのはかなり厳しいですが、東家がリーチしたところで、アガリよりもアシストの方がまだ逆転の可能性が高いと気付いて方針を変更できれば、自ずと打を選べると思います。アシストするうえでは他家の手牌構成を詳しく読めるに越したことはないですが、より重要なのは、点数状況からアシストした方がよいという判断ができることにあります。

 麻雀における技術というのは、意図を理解するだけなら難しいものは何一つ無いと言っても過言ではないです。難しいのは使いこなすことであり、トップクラスの実力者であっても完璧にできているわけではないので、いまいち読みには自信が無いという方も、難しい技術だからまだ自分には早いと敬遠することなく、自分の可能な範囲で、より望ましい結果を出すために何ができるかを考える事に力を入れることをお勧めします。

例題37

 形テンであれば自分のツモ番はなるべく飛ばした方がいいので、安牌を切れるならシャンテン変わらずの鳴きを入れた方が得になります。からをチーしてテンパイを維持できることは盲点になりやすいですね。面子+面子候補の形は手作りの面でも有利になることが多かったですが、形テンについても鳴ける牌が増えるというメリットがあります。

 また、ハイテイに限りアガリの可能性が残るので、ツモ番の回数に差がなければ、ハイテイは自分、またはこちらの当たり牌を切る可能性のある他家に回した方がよいことになります。

ハイテイが誰に回るかについては、「魔神の攻め」からの引用になりますが以下の方法で判断できます。

鳴きが入ってなければ海底は南家

上家から鳴くと+1か-3
対門から鳴くと+2か-2
下家から鳴くと+3か-1
カンが入ったら+3か-1

(プラスとマイナスが打消しあうように計算する)

計算の結果

0なら南家が海底
+1か-3なら西家が海底
+2か-2なら北家が海底
+3か-1なら東家か海底

本記事に関するご紹介

前著「黒いデジタル麻雀」で概念的に説明された戦術論を具体的な局面に落とし込んで解説しています。41の例題が収録されていますが、それらは決して単なる何切る問題ではなく、何を切り、何を考えておくべきかを問うています。ハイレベルになった現代麻雀において勝ち続けるにはここまで深く考えなければいけないのかと驚かされます。
 
石橋 伸洋 (著)
発売日:2016年10月26日
定価:本体1,490円+税
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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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