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ネマタの麻雀講座 第21回 「リーチ判断 その7」

ネマタの麻雀講座 第21回 「リーチ判断 その7」

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 前回までは、リーチすることでアガリ率が下がるという観点から、リーチをかけない例を考えました。今回は、リーチすることでアガリ牌(またはアンカンできる牌)以外はツモ切らないといけないという観点から、リーチをかけない例について考えることにします。

先制リーチであれば、放銃のリスクはそれほど気にしなくてよい

 リーチすると他家の当たり牌を引いたとしても、ツモ切るよりなく放銃してしまうことになります。しかし、先制テンパイであれば、さほど放銃のリスクを気にすることはありません。何故なら、リーチすることで他家のアガリ率も下がるのですから、それだけ他家に追いつかれてテンパイされるケースも減るためです。
 もちろん、ダマにして他家のテンパイが入れば、危険牌は止めて降りるというのであれば、ダマにした方が放銃率は下がりますが、その場合は自分のアガリ率も下がることになります。

 「リーチすると他家にアガリ牌を止められる」「リーチすると他家に追いつ かれて放銃するかもしれない」どちらもリーチのデメリットとしてよく聞きますが、実は同時には成立しないことが多いのです。相手がこちらの待ちを高確率で当てることが出来るというのであれば話は別ですが、リーチの待ちを高確率で当てることは原理的に不可能です。
 仮にそのようなことが可能な打ち手がいるとしても、そのような並外れた能力の打ち手に勝てるとすれば、どんどんリーチできてツモアガリするような幸運に恵まれた時ではないでしょうか。

他家から即追いつかれるのであれば、カンチャンリーチのみは損

 例によって、選ばなかった選択、ここではリーチせずにダマにした場合が有利になるような想定をしてみます。先制リーチが即追いかけられた場合、こちらの研究では、カンチャンリーチのみが即追いかけられた場合は、ダマにして危険牌を引いて降りるよりも損になるという結果が出ています。

先制リーチのみが即追っかけられた時の期待値的感覚 - とりあえず麻雀研究始めてみました

 逆に言えば、カンチャンリーチでも他に役かドラが1翻あれば、即追いかけリーチが入るという悪い条件を想定してもリーチがよいということですし、カンチャンリーチのみであっても、何らかの理由で他家に追いつかれる可能性が高いと読めるのでなければ、少なくとも放銃のリスクを考慮してダマにするほどではないと言えます。

先制なら基本はリーチと言っても、極端に待ちが悪い場合はリーチを控える

 カンチャン待ちでも基本はリーチであることは何度も申し上げてきましたが、ここでのカンチャン待ちは、残り4枚のアガリ牌が1枚も見えていない状態を想定しています。
 リャンメン待ちであれば、多少アガリ牌が切られても、少なくともカンチャンリーチ以上にアガリづらくなることは考えにくいですが、元々アガリ牌が少ない待ちであれば、アガリ牌の枚数が減ることによるアガリ率低下の影響が大きくなり、その分追いつかれて放銃するリスクも増えます。

 「極端に待ちが悪い」とは具体的には、「特に出やすくない残り2枚以下の中張牌待ち」「字牌以外の残り1枚以下の待ち」「残り3枚以下でフリテン」を指します。早くテンパイしてリーチを打ちたいとばかり思っていると、場を見るのが疎かになってこのような待ちでリーチをしてしまうミスをやりがちです。

 実力者でも必ずしもリーチが多いとは限らず、逆にリーチを多用するけれども勝てていない打ち手も少なくないことは、リーチ判断そのものよりも、情報を把握する「認知」の段階に問題があるように思います。
 リーチを控えるべきケースはもちろん、リーチ有利であっても、待ち選択が可能な場合により有利な待ちを選ぶといった判断は、正しく手牌、局面を認知できているかどうかが重要です。

 次回は、待ち選択が可能なケースについて考えることにします。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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