逆転の西嶋。美辞麗句が一切ないキャッチフレーズだが、それが西嶋千春プロの強さを一層際立たせている。ジャンルこそ違うが「逆転のPL」のように、真の強者にしか与えられないフレーズだ。結婚・出産を経て、最前線に復帰後、更にすごみを増した西嶋の強さは、子を守り家庭を支える母としての強さにもつながる。本記事では、女流プロとなり、逆転の西嶋となった道のりについても探っていきたい。
目次
西嶋千春の基本情報・プロフィールデータ
名前 | 西嶋千春(にしじまちはる) |
異名 | 逆転の西嶋 |
生年月日 | 2月1日 |
出身地 | 埼玉県 |
血液型 | A型 |
趣味・特技 | 猫、マンガ、お酒 |
本人公式SNS | |
所属団体 | 最高位戦日本プロ麻雀協会 |
プロ入会年 | 2009年 |
主なタイトル | 第17・18・19期女流最高位 |
趣味の一つに「お酒」を挙げている西嶋。都内のスタジオで行われる対局では、1日に4~5半荘打つことも多いため、帰路につくのが遅くなりがちである。西嶋にとって、そんな時の楽しみが小田急電鉄の特急ロマンスカーに乗って一杯やること。車窓を満喫できる最前列に座れたともなると、極上の一杯となることだろう。
経歴
2009年:最高位戦日本プロ麻雀協会第34期前期生としてデビュー
2017年:第17期女流最高位を獲得、第19期まで3連覇
麻雀との出会い・きっかけ
西嶋が麻雀を始めたきっかけは、多くの女流プロと同じで「雀荘でアルバイトをしたこと」なのだが、そこにいたる理由が特殊だ。というのも、大学卒業の時点で就職先が決まっておらず、生活費を稼ぐために働き始めたという。バイト先を銀玉親方こと山崎一夫さんが経営する雀荘にしたのは、山崎さんと親交の深い漫画家・西原理恵子さんのイラストが飾ってあるなど、女性でも入りやすい店だったから。週5、週6で働くうちに、バイトを続けるよりもプロ試験を受けた方がいいと思い、最高位戦日本プロ麻雀協会へと進んだ。
西嶋千春の打ち方や雀風
もともと守備には定評がある西嶋だったが、出産を機に麻雀のスタイルも変わりつつあるという。踏み込む勇気が身に付いたというのが理由だそうだが、8戦してトップ5回と強さを見せつけた第19期女流最高位決定戦の試合運びを見れば、攻撃姿勢を貫いているのは明らか。従来なら、安手の場合は打ち回しながら手役を模索するところを、手順通りにきっちりリーチを入れて相手が降りるように仕向けるなど、攻守のメリハリがはっきりした戦法に変わっている。
西嶋千春の対局時の様子
第17期女流最高位決定戦 2017/10.1
「逆転の西嶋」が誕生したこの対局。トップを走る大澤ふみなプロに2着順差をつければ、西嶋が逆転という最終戦。大澤が3着目、西嶋ががラス目で迎えた最終局。裏ドラ期待のリーチをかけたくない西嶋はタンピン三色を目指すが、中盤に親からリーチが入る。流局すれば次局があるという状況に変わり、ツモ狙いのリーチに踏み切る。そして、西嶋は一発でツモ。3000・6000のアガリで一気にトップに浮上して劇的な逆転優勝を決めた。
西嶋千春がオーラス大逆転で初戴冠!/第17期女流最高位決定戦
第19期女流最高位決定戦 2019/10.5
初日を終えてトップの西嶋を、永世女流最高位の根本佳織プロが追う展開で迎えた5回戦。東3局ではドラが2枚の好配牌から、西嶋が最速でリーチして一発でツモ。3連覇を引き寄せる大きな4000オールとなった。守りに入らず攻め続けた西嶋は、リードして迎えたオーラスも、親の現物も持たずにアガリを目指す姿勢を崩さなかった。結果、1本場で相川まりえプロがアガって終了したが、「逆転の西嶋」が盤石の逃げ切りを見せた。
8戦中5トップ!西嶋千春が圧巻の3連覇達成!/第19期女流最高位決定戦
麻雀ウォッチPrincess of the year2021 一次予選A組 2021/6.20
過去2回は予選落ちと相性の悪い大会で、かなりの意気込みで臨んだ西嶋は初戦から配信卓に登場。2着目で迎えた南2局、4巡目で先制リーチした西嶋だが、注目すべきはその打牌スピード。ツモ切りかと思うような速さでリーチをかけ、相手にプレッシャーを与える。そして、これをあっさりツモってトップ目に立った後は、きっちり逃げ切った。西嶋の迷いのない打牌が光ったが、同卓者も小気味よく打ち、視聴者にとっては見ていて気持ちのよい対局となった。
栄冠のティアラは誰の頭上に輝く!? 「麻雀ウォッチPrincess of the year2021」開幕!出場者、スケジュール一覧
SNSでの評価・評判
西嶋のTwitterには、対局への意気込みなど熱いものも多く、それに対して温かい声援を送っているファンも多い。
最高位戦17期女流最高位 西嶋千春
— 曽木達志 (@soggy1632) August 17, 2018
「春」
派手さは無いがコツコツ勉強して、念願の女流最高位を獲得。
さらには子宝にも恵まれ、まさに人生の春を迎えた人。
それもこれも、昔びーたんにウイスキーを飲みに来てたから… pic.twitter.com/idcW5sqqWi
地道な努力を重ねて、麻雀でも私生活でも「春」を迎えたという西嶋。読むと心が温かくなるようなツイートである。
平岡理恵プロの女流モンド16年ぶり出場決定に歓喜したと同時に西嶋千春プロと西嶋プロのファンに感情移入した昨年の5月5日
— なおこみりん (@naonao_eien) September 26, 2020
いつか女流モンドの舞台で平岡プロと西嶋千春プロの対戦が観られたらいいな? pic.twitter.com/8thVkWUV0K
第6回女流モンドチャレンジマッチでは、1回戦トップの西嶋がまさかの逆転負けを喫した。この舞台でリベンジする日はいつ訪れるか。
西嶋千春プロ、西嶋ゆかりプロ、朝倉ゆかりプロが対局中で実況解説が大変そう
— れーまん(大塚玲司) (@dj_lehman) February 20, 2018
各団体から「西嶋さん」「ゆかりさん」が集まったレアな対局。放送席が大変そうなのは想像できるが、実際の放送をはどうなったのだろうか。
西嶋千春のニュース・こぼれ話
4年ぶりのリーグ戦出場
女流最高位決定戦はリーグ戦・プレーオフを勝ち上がった3人が、前年の女流最高位に挑戦するシステム。ということは、女流最高位を3連覇していた西嶋にとっては、なんと4年ぶりのリーグ戦出場となる。前女流最高位として負けられない気持ちで臨む西嶋だが、まずは決定戦進出を狙う。果たして、返り咲きのチャンスをつかむことはできるのか?