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もっと勝つための現代麻雀技術論 第52回 「面子候補十分と面子候補オーバー」

もっと勝つための現代麻雀技術論 第52回 「面子候補十分と面子候補オーバー」

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 前回、「基本は面子候補十分に受けるのが有利」と申しましたが、平均テンパイ巡目を計算で求めた場合、面子候補十分に受けるのが有利とはいえ、面子候補オーバーに受けた場合とほとんど差がつかないことが分かっています。

 そのため、これだけでは面子候補十分に受けるのが有利と結論付けることはできないのではと思う方も多くいらっしゃいました。

 しかし、実は単純な平均テンパイ巡目の他に、面子候補十分が有利と言える要素がいくつかあります。

 一つは、面子候補十分に受ける方が、巡目が早い段階でテンパイする可能性が高いので、単純な平均テンパイ巡目以上に有利になりやすいということです。

 麻雀は流局までに18巡しかなく、他家の攻撃が入れば更に終局巡目は早くなるので、巡目が遅い段階でテンパイしてもアガリに結びつくことは少なくなります。

 ですから、「平均巡目に大差ないのであれば、早い段階でテンパイできる可能性が高い選択の方が有利になりやすい」のです。

 牌姿ごとの面前聴牌スピード考察-1  -ぐっさんの麻雀研究日誌-

 面子候補選択はなるべく後回しにした方が、場況から山に残っている牌を残しやすいから「面子候補オーバー有利」と主張される方もいます。

 確かに巡目が遅いほど河の情報が増えて山読みしやすくなりますが、山読みしやすいほど情報が出揃っている局面はそもそもアガリ率自体が高くないのですね。

 山読み自体は重要な技術で、巡目が深い段階での立ち回りこそ腕の見せ所ではありますが、第14回第21回でも申しましたように、早い巡目でテンパイしやすく、早い巡目でテンパイした時に有利になりやすい選択を優先するのが手作りの基本です。

 面子候補十分に受けるのが有利になりやすいもう一つの理由は、面子候補十分に受けた場合は浮き牌を余分に1つ持つことができることです。

 面子候補を落とした時にできる余り牌が、受け入れを増やす牌や手役、ドラ絡みの牌になることでよりよい手を目指せるようになりますし、安牌を抱えることもできます。

 ドラ

 「現麻本実戦編」で取り上げた牌姿。打とすると打とした場合に比べ、を引いた時にと残り受け入れで勝りますが、先にを引いた時もが浮き牌になり、へのくっつきでホンイツになる変化まで残ります。運がよければ

のダマで高め出アガリ跳満。

 将来の受け入れ枚数で有利になるメリットばかりが注目されがちですが、アガリ率を落とさず、自然に高打点への変化を残したり、手牌に安全牌を組み込むことができるようになるのも、面子候補十分に受けることの強みなのです。

 

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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