命題27
カンについては不確定要素の多さから必要以上に嫌う打ち手も多いですが、(大ミンカン以外は)1回多くツモれる。カンドラは他家に乗る可能性もあるが、符ハネによる打点上昇もあるというメリットが大きく、先制良形×2の1シャンテンくらいなら局収支上ははっきりカン有利という結果になりました。
このあたりの体感との差は、命題1、2にあるようなリーチ判断に似ています。麻雀は確率のゲームである故、体感はあてになりません。それでは常にデータ通りに打てばいいかと言われればそういうわけではなく、データの結果を現前の局面に適用していよいかを判断することは必要です。その判断自体は確かに感覚的に処理せざるを得ませんが、判断のベースはあくまで確率にあります。
命題28
昨今の麻雀研究の発展によって、様々なデータを得ることが出来るようになりましたが、実は私自身は、データとして出てくる数値についてはほとんど覚えていません。
理由としては本書でも言及されているように、打牌選択に影響するので対局中に意識しておく必要がある数値ではないものが大半であるためです。自分の手牌の価値については、できれば具体的な数値で表せるようになるのが望ましいと考えていますが、取り得る選択肢の中で最もマシな選択が何かだけ分かればよいのですから、具体的に局収支がどの程度か、次善の選択と比べてどの程度有利かについては把握していなくてもほとんどの場合は対処できます。
局収支の面では、例え安手と分かっている他家相手であっても、わざと振り込むのは損ですが、着順を考慮するケース、特にオーラスであれば差し込みが最善ということは珍しくありません。そのあたりはまさに、データより個別の状況判断が重要な局面であると言えるでしょう。大事なのはデータの数値を覚えることではなく、どのデータを、いつ活用するかを把握することです。
本記事に関するご紹介
平澤 元気 (著)
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