- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
3 三麻の偶然性を把握しよう
四麻は4人で打つので、「平均順位」の平均は2.5ですが、三麻は3人で打つので平均は2.0。対戦相手が3人から2人になるので、順位の上げやすさは四麻の2/3倍。つまり四麻における平均順位0.15アップが、三麻の0.1アップに相当します。
1000戦打って平均順位のブレが±0.05になるとありますが、実はこの値、『科学する麻雀』で示された四麻の値と同じです。三麻なのに数値が同じということは、四麻換算なら±0.075。1.5倍もブレるということになります。三麻は四麻以上に運の要素が強いゲームと言えます。
しかし、運要素が強いと、技術介入要素が強いは、以前も話した通り必ずしも相反するものではありません。四麻天鳳位全体の平均順位は2.426、三麻天鳳位全体の平均順位は1.927。これだけでは、より大きい上ブレを引けたからこそ三麻で天鳳位になれたという要素を否定できませんが、好不調を乗り越えたうえでの結果であるとしたら、対戦相手が3人から2人になっているのに平均との差が変わらないことから、三麻の方が実力差をつけやすいゲームであるということになります。
また、三麻は四麻と比べて局数が3/4倍。ゲーム展開もスピーディーなので、運要素を克服するべく対局数を増やすことにそれほど時間が取られないというメリットもあります。成績の分散を目の前にしても、麻雀を楽しみながら、なおかつ勝ちにこだわって打ち続けるために必要なのは、麻雀の抽選や結果でなく、選択。どうすればより勝ちやすいかを考えることを楽しむことに尽きます。私は麻雀ウォッチ内で「雀魂日記」を更新させていただいていますが、これは麻雀における「選択」を楽しむ心を保つためでもあります。皆様も是非、自分の選択に着目した、麻雀日記を書かれてはいかがでしょうか。
4 局収支論について
局の結果はアガリ、放銃、被ツモ、横移動、流局の5通りで、それぞれで収支が発生することから、合わせて10の要素で局収支を求めることができます。実戦で具体的に局収支を求めるのは困難ですが、局の結果が5つに分かれることを意識したうえで、本書のデータを活用すれば、「どのような手牌、局面で、どうすれば最も勝ちやすいか」の指針が見えてくると思います。
・局収支はどこまで当てになるか?
四麻では南2局まででしたが、三麻では南1局まで。残り2局の段階まで用いることができるという点では変わらないので、基本的に四麻の時と同じ感覚で使えそうです。しかし、三麻は高打点のアガリが飛び交うゲームなので、四麻に比べると、「他家との点差が大きい状況」が起こりやすくなります。四麻同様局収支はかなり有用、ただし個別のケースに着目すれば使えないケースも増えるということになりそうです。
・局収支の誤差
三麻の局収支の誤差は最大500点。四麻では400点でしたが、三麻は高打点のアガリが飛び交うことを踏まえると、これも大差ないと言えそうです。ゲーム展開は大きく変わっても、勝つ為になすべき判断についてはさほど変わらないといことがここからも言えます。
三麻は他家の手牌構成が読みやすいのもあり、元々優劣が微差であれば、個別の局面に対応した結果判断が変わるケースは多いと思いますが、優劣に大差あるようなら、簡単には判断が変わらないとみてよさそうですね。
みーにんさんの『データで勝つ三人麻雀』
宇宙初! 三人麻雀のデータ戦術書
スピーディーでゲーム性が高いことから愛好者も多い三人麻雀。四人麻雀に比べると圧倒的にデータの蓄積量が少ないが、本書は麻雀データ研究家・みーにん氏が収集、解析した膨大な天鳳鳳凰卓での実践データに基づいた、前例もそしてこの後にも出てこないであろう、唯一無二の三麻戦術書である。実践の場でどう立ち回るべきなのか、データが導き出す!
【ココがすごい!】
●「ツモ損・抜きドラあり(天鳳ルール)」「ツモ損・抜きドラなし」「ツモ損なし・抜きドラなし(MJルール)」「ツモ損なし・抜きドラあり」の4ルールに対応
●100個以上のグラフ・表・式を駆使
●8代目三麻天鳳位・abantes氏が各テーマごとに解説した実践向きコラムを掲載