- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
5 先制リャンメンテンパイ
三麻は牌種が少ないのでツモりやすいうえに裏ドラも乗りやすい。ツモ損無しルールであれば四麻以上にリーチ有利。ダマで満貫あってもリーチ有利であることは容易に想像されます。
問題はツモ損無しルール。ダマ満貫でリーチを打つかどうかについては、強者間でも結構意見が分かれていました。今回のデータを踏まえると、四麻と比べると僅かにダマ寄りだが、明確にダマ有利にまではならないというところでしょうか。局収支的には誤差の範疇なのでリーチするかどうかは局面次第。細かい判断については天鳳位のコメントが参考になります。
アガれなかった場合の失点も四麻より大きいので、安手リーチの局収支が四麻に比べてかなり下がっています。もっともダマとの比較であれば明確に有利なので基本はリーチすることになりますが、北を多く抜いている等、他家が高打点確定と分かるケースも増えるので、条件が揃えばダマにすることもそれなりにありそうです。
データが若干ダマ有利になっていることは本書で指摘されている通りですが、メンツのスライド等で結果的に放銃回避したうえでアガれるといった、データ以上にダマ有利になる要素も一応あります。もっとも先制リャンメンテンパイの時点でそのような展開になる可能性はかなり低いので、優劣が微差なら基本リーチ、ただし元々微差である以上局面の影響を受けやすいと押さえておくのがよいと思います。
ツモ損無しなら予想通りダマ満貫でもリーチ優勢。ダマ跳満でようやくダマ有利となります。しかしフリールールならここに祝儀まで加わるので、なおのことリーチ有利に傾くと言えそうです。個人的に三麻のダイナミックなゲーム性を楽しめるという点でツモ損無しの方が面白いと思っていますが、先制リャンメンテンパイがほとんどリーチ有利になることを踏まえると、麻雀の技を競うという点では、ツモ損無しの方がゲームとして楽しいかもしれませんね。
6 先制愚形テンパイ
全体的にリャンメンテンパイ時よりダマ寄りですが、ダマでツモって満貫に届かない場合はリーチ寄り、届く場合はダマ寄りという傾向は変わりません。優劣が変わったのはダマ5200のケース。手変わりも含めれば実戦的にはダマにすることが多いでしょう。愚形テンパイだとツモアガリしづらいため、ツモ損無しでも全体的にリーチ寄りになるとはいえ逆転するまでには至りません。
愚形テンパイの場合は追リーチを受けて失点するリスクも気になるところ。放銃しなかった場合の失点も四麻より大きいので、愚形リーチのみでリーチしない方がよいと結論付けることまではできません。しかし抜きドラ含めドラが10枚あるにもかかわらず自分の手元に1枚も無いとなると、それだけ他家がドラを抱えている可能性も高くなります。愚形ならダマ側に有利な要素も多いので、結果的にリーチしない方がいい局面であることが多いと思います。
天鳳位のコメントにある通り、役有り安手テンパイの場合も手変わりまで含めればダマが有力になることは結構多そうです。このあたりをデータから判断するのは難しいですが、次回以降の「枚数によるアガリ率の違い」「テンパイ外しをする場合」と合わせて考えれば大まかな基準が見えてきそうです。このあたりは次回以降に考察していくことにいたします。
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●8代目三麻天鳳位・abantes氏が各テーマごとに解説した実践向きコラムを掲載