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ネマタの手組の達人 第25回

ネマタの手組の達人 第25回

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 ドラ

今回は、『もっと勝つための現代麻雀技術論実践編』応用演習13番より出題。私の実戦譜でもあります。私の想定解は打。三色やチャンタなら1アタマ4メンツの候補が揃っていますが、大半は鳴くことになるうえに鳴くと安い。それなら1手多くかかっても、鳴いても高打点が見込めるホンイツ、トイトイを狙うのが有力と判断しました。

アガリまでの手数で言えばチートイツ2シャンテンなので、残り1枚のよりはを残します。「その他」は打とされた方も多いと思われますが、ドラなのでドラ表示牌がであることもポイントです。本記事は三色を狙わせるものが多かったので、今回は見えている三色を見切る問題を出題することにしました。

応用演習は解答者の意見が分かれるものが多かったですが、この問題は全員打で一致。解答者はいずれも麻雀歴の長い熟練者ですが、この問題に関しては全く迷う要素がなかったそうです。

ところが今回出題してみたところ、半数近くの方が打と解答。問題検討のために当時の勉強会メンバー(天鳳高段位勢)に出題した時も打が多かった記憶があります。

麻雀歴の長い熟練者が迷わず打を選んだのに対して、比較的麻雀歴が浅い打ち手は実力者でも打が多かった理由。私は、手役を見るうえでの「距離、傾斜、速度」をどの程度重視しているかの違いにあると見受けました。(私独自の用語なので詳細はリンク先を御確認下さい。)

今回の問題、「距離」については、三色、チャンタがホンイツ、トイトイに勝ります。しかし前者は使用牌が限定されるのに対して、後者は比較的多種類の牌を活用できるので、「速度」で勝ります。ホンイツ、トイトイは誰から出ても鳴ける「ポン」によって手を進められるので、「傾斜」でも勝ると言えます。(更に言えば、トイトイは必ずシャンポンか単騎待ちになりますが、ホンイツは手変わりからリャンメン待ち以上になる場合があるので、「傾斜」面でトイトイ以上に有利と言えます。)

手牌のアガリやすさを考える場合、基本的に優先順位は、距離>傾斜>速度なのですが、一昔前はこれらを区別せず、全部「スピード」として扱う傾向がありました。全部ない混ぜになっているのですから、感覚的には距離≒傾斜≒速度。よって現在主流の打ち方からすれば「距離」が軽視され、距離に関係なく多種多様な牌を活用できるという「速度」が重視される傾向がありました。

しかし、距離>傾斜>速度というのはあくまで一般論。手牌次第では傾斜、速度を距離より優先すべきこともあります。今回の手牌はまさにその典型例。実力者でも比較的麻雀歴が浅い打ち手が距離優先の打。熟練者が傾斜、速度優先、言い換えれば「懐が深い」打を選んだのはそのあたりに理由があるように思われました。

部分役の三色より、全体役のホンイツ、トイトイを狙った方がよいという記述は、片山まさゆき氏の麻雀漫画、「打姫オバカミーコ」にも見られます。しかしミーコは全体役>部分役という言葉に囚われるがあまり、部分役を優先すべきケースでも全体役を優先して失敗してしまうというオチがついてます。他にも様々な方が色々な形で説明されてきましたが、どうしても抽象的表現が多くなりがちだったので、今回私なりにまとめてみることにしました。

ちなみに結果はこちら。思った以上に縦方向に手が伸びてトイトイ三暗刻。望外の満貫ツモとなり、半荘もトップで終えることができました。この後間もなくして七段に昇段することが出来たのもあり、何かと印象に残った対局でした。

手組の達人第26回

 ドラ

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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