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第70回 ネマタの麻雀徒然草

第70回 ネマタの麻雀徒然草

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ネマタの麻雀徒然草とは
  • 『ネマタの麻雀徒然草』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる「麻雀に関する話題を徒然なるままに書き連ねていく」コラムです。
  • 第1回はコチラ

 「麻雀格闘倶楽部3」の頃の話。それまでの「東風戦」「半荘戦(麻雀格闘倶楽部2から導入)」に加え、「トーナメント」なるモードが追加されました。4人×4卓の16人のトーナメント戦。一回戦、二回戦は上位2名が勝ち抜け、対局後の待ち時間を極力減らすために、二回戦までは試合時間12分で連荘、トビ無し。時間が切れたところで最後の局。時間切れから1分経つと考慮時間が5秒から2秒に切り替わります。決勝戦は4人で通常の東風戦。優勝者は通常のオーブのやり取り(ラスがトップに1個献上、2、3着の移動は無し)に加えてオーブを+1個獲得することができます。通常の東風戦以上に短時間で終わるうえに優勝特典があるので、オーブを効率よく稼ぐことができました。

 さて、ここで前回お話した、「牛歩」「長考ツモ」が問題になります。安手でも一度アガりさえすれば、後は局数をなるべく減らすためにフル牛歩。ツモアガリする時は長考ボタンを押して時間を稼いでからアガる。リーチすると長考が使えなくなるので、長考して時間を最大限に消費してからリーチ。そうです。それまでは単なる嫌がらせでしかなかった行為が、トーナメントを勝ち残るうえで極めて有効な戦略になったのです。

 当時は今ほど安手でも早アガリすることの有用性が意識されておらず、アーケード麻雀はネットと比べると年齢層も高め。安手で局を流されるだけでも不快に思うプレイヤーが少なくないうえに、アガった後は牛歩が有効となれば苛立ちも募るというもの。「嫌ならやらなければいい」と言いたいところですが、稼ぎ効率がよいモードだから勝つうえでやらないというわけにも行かないという状況でした。

 私の記憶する限り、そこまで徹底して時間を消費する打ち手は一握りで、私自身もこの局で終わるかどうかという局面で自分が連対している時になって初めて考慮するくらいでした。掲示板で晒されるのが嫌だったということはないのですが、オンラインとはいえ同卓者が人間である以上、どうしても半端に気を遣ってしまうのでありました。

 そういった事情もあって不評だったこともあってか、次回作「4」以降では別のモードになってしまったのですが、掲示板で知り合った方と段位に関係無く同卓できる可能性があった唯一のモードでもあったため、廃止されるのもやむなしとはいえ惜しい気持ちもありました。
 
 それと別に、ルールの範疇なら何でも合法という見解を共有できるプレイヤー同士で、「時間稼ぎ」も作戦のうちとして選べるのであれば、その分技術介入要素も増えて楽しめるのではないかという思いもあります。麻雀というのは極めて自由に遊べるゲームでありますから、マナーやルールという縛りからも、もっと自由になれるのだという認識が広まって欲しいと、昔の話を書きながら改めて感じさせられるのでありました。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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