前回の内容を踏まえたうえで、一つ何切る問題を考えてみます。
東2局北家6巡目
ツモ ドラ(赤無しルール)
前回は残しの意味をふまえたうえでの打牌について触れましたが、個人的にはやはり考え過ぎなのではないかというのが正直なところです。をツモ切らない以上、は全く残す意味がない牌というわけではありませんし、前巡切った牌がやであれば、安全度という面からもあえてを先に切るほどではありません。
そして、どの色のリャンメンを外すかという問題になっていましたが、そもそもこの手牌ならドラとはいえを切る一手でしょう。アンコと、アタマを作りやすいイーペーコーを含む3メンツ2リャンメンの形になるので、テンパイする受け入れでは明確に打が勝ります。打点についても、メンタンピンドラ1で満貫、三色かイーペーコーがつけば跳満に届く以上ドラ切りがほとんど損になりません。待ちの強さについても、ドラとドラ表示牌を含む待ちの9枚受けよりは、単純なリャンメン待ちの方がアガリやすいまであります。
リャンメン×2以上の1シャンテンの時点で十分アガリが見込める以上、ドラ切り以外の選択が大損とまでは思わないですし、「ピンズをツモりやすい」という判断が事実なら打も十分候補には挙がりそうです。このことから、「◯◯切り以外無い」のような発言を私は好みません。
ただし、「大損とまではいかなくても、あえてその牌を切る必要性が薄い」という選択が多々あることは事実です。そのことを踏まえずに、「どの選択もそれぞれメリットがある」「何を切ってもよい」と考える打ち手よりは、「◯◯切り以外有り得ない」と考える打ち手の方が実力者であることは言えるでしょう。
とはいえ、単に有り得ない選択と見切るくらいなら、どのような局面なら有効になるかを踏まえたうえで、頭の片隅にでも留めておくに越したことはないでしょう。例えば今回の手牌、オーラスで逆転には倍満ツモ以上が必須となれば切る牌は。ツモからのメンタンピンツモ三色ドラ2、ツモからのメンタンピンイーペーコードラ3、ツモからのメンタンピンツモリャンペーコードラ2といった倍満ツモへの変化を最大限残すことができます。「通常であれば損が大きいが、あえてその牌を切るだけの理由がある」という選択が少なからずあるというのもまた事実。「打牌候補は広く持つ、ただし打牌比較はシンプルに考えて一択に決める。」どちらか片方だけにならないよう注意したいものです。