「上級者」という言葉が同じだけで、意味するところは全く異なりますが、将棋や囲碁で上級者と言えば、「級位の中の上位者」、つまり(アマチュアの)1級〜3級あたりで、有段者の実力にまでは届かない人のことを指します。トップクラスには及ばないが実力上位のプレーヤーを上級者と呼ぶ世界からすれば、将棋における上級者はむしろ初心の域です。
現在の基準では、六枚落ち(飛角桂香落ち、一般的に行われる駒落ちの中では最もハンデが大きい)ならプロ棋士が相手でも勝てる実力がおよそ3級。二枚落ち(飛角落ち)でプロ棋士と良い勝負をする実力がおよそ三段とされるようです。50年くらい昔は二枚落ちでプロ棋士に勝てば初段とされていたので、以前より基準がだいぶ緩やかになりました。(ただし、プロ棋士やアマトップクラスの強豪が何人も参戦している「将棋倶楽部24」では、段位の基準はこれよりずっと厳しく、十分有段者を名乗れる実力の指し手が、「24」では下級者相手に苦戦をするという話もよく聞きました。)
将棋の戦術書は麻雀より遥かに多く出版されていますが、いわゆる講座形式で書かれているものは、アマ初段を目指す人までのものがほとんどです。有段者が更に上の実力を目指すとなると、実戦経験を積む以外に、自分がよく指す戦法の定跡をより深く学ぶ、棋譜を並べて研究する、詰将棋を解いて読みの力を鍛えるといったものが挙げられますが、これという決まった方法論があるわけではありません。
決まった方法論が無いとなると、そこから上達できるかどうかはどうしても本人の努力以上に、才能、環境に左右されることになります。私も日本将棋連盟の道場で三段の従兄や友人と良い勝負ができる程度までは上達しましたが、そこからどうやって強くなればよいのか全く分からなかったというのも、今では将棋を指さなくなった要因です。
麻雀も(前回取り上げた麻雀講座における)上級者からいかにして更に強くなるかについては、未だに決まった方法論が無いというのが現状です。ゆくゆくは上級より上を目指す方法論を確立したい(そして、それが出来る程度に自分の実力向上、麻雀研究に励みたい)ものですが、今のところは、上級者を目指すための麻雀講座の内容を踏まえたうえで、講座の内容から外れる局面としてどのようなものがあるか、そのような局面ではどうすればよいかについて、実戦形式で色々と取り上げていければと思っております。