第282回で、来年から麻雀講座的なものを不定期で掲載するとしましたが、ご要望がありましたので毎週土曜日に掲載、残りの日曜を「麻雀徒然草」の更新日に当てることにします。
最近では「楽しみながら強くなる」をコンセプトにした麻雀講座も増えました。私もそれをモットーに戦術記事を更新していく所存ですが、「読者の楽しさに戦術を合わせる」というより、「読者の楽しさが戦術に合わさる」ものを目指したいと考えています。
これまでの「楽しみながら強くなる」麻雀講座は、「読者の楽しさに戦術を合わせる」類のものでした。確かにそのような麻雀講座は人気が高く、講座の中で取り上げられた麻雀セオリーの中には、何度となく使われる有名なフレーズになっているものもあります。
私はそのフレーズを聞くたび、何ともむず痒い思いをすることが多々あります。その理由は、「そのフレーズ通りの打ち方からもう一歩先まで踏み込めば、今よりも強くなれるのに」と思ってしまうためです。もちろん、一歩先に踏み込んだ途端「読者に合わせる」コンセプトから外れ、分かりやすいとは言い難いものになることは重々承知しているつもりです。しかしそれでも、「麻雀が好きで強くなりたい」と思っている時点で、一歩先を踏み込める素質は誰しも持っているのだから、その足がかりを作ってこそ麻雀講座であると私は考えます。
拙著『勝つための現代麻雀技術論』は、「楽しみながら強くなる」から全くかけ離れたものですが、その読者で当勉強会に参加されていた方が麻雀を楽しんでいないかと言われたら全くそんなことはありません。むしろ、強くなる人は誰しも麻雀を楽しみながら強くなるものです。
私は麻雀の実力も指導法も、お世辞にも上手とは言えませんが、「勉強会を主催していたが、主催者よりずっと強くなった受講者が多数いた」。という経歴があります。強くなれる素質を持った方がたまたま受講していたというだけで、これも決して誇れるものとは言えませんが、実力も指導も一流とされる人が考える「楽しみながら強くなる」麻雀講座だけでは足りないものを、少しばかりでも埋め合わせることができる記事を書ければと思うことであります。