電車に乗ると、運転士さんや駅員さんが、指差し確認をして声を出しているのを見かけます。ただの目視よりも、安全を守る効果が高いとされています。麻雀でも、勝利に近づくために、多くのチェック項目があります。対局中に実際に指差しはできませんが、心の中で「ヨシ!」と確認できれば、自然に成績はあがるでしょう。このコラムでは、基本的なルールを覚えて打ち始めた方を対象に、卓上で気をつけたいことを紹介していきます。
最初のテーマは「ルールを確認しよう」です。当たり前だろ、とつっこまれそうですが、麻雀は多彩なルールでプレーされているので、ルールの確認は必須なのです。一例として、「ウマ」と「オカ」を紹介しましょう。いずれも、対局が終わったあとの成績集計のルールです。「ウマ」は、最終順位につくポイント。一般には、1着と2着の人はプラス、3着と4着の人がマイナスになることが多く、「順位点」とも呼ばれます。
Mリーグや、私が所属する最高位戦日本プロ麻雀協会では、1着はプラス3万点、2着はプラス1万点、3着はマイナス1万点、4着はマイナス3万点です。順位が1つ変わると、2万点を得たり失ったりするので、影響が大きいですね。順位点は、ルールによって、付け方や点数が異なりますので、必ず確認しましょう。
「オカ」は、1着の人が得るトップ賞です。最終成績は、3万点を基準に計算しますが、Mリーグでは、最初に持つ点数は2万5000点です。つまり、4人とも基準より5000点少ない状態で対局を始め、1着になった人が、4人分の5000点、合計2万点をすべて獲得します。これを「2万5000点持ちの3万点返し」といい、フリーの雀荘などは、おおむねこの仕組みです。「オカ」は、1着の人だけに与えられるボーナスのようなものです。Mリーグでは、低迷中のチームが、連続して1着を獲って、ボーナス効果で一気に浮上することがありますね。トップの価値がとても大きいので、各選手が「順位が下がるリスクをおかしてでもトップを狙う」ことが増えて、終盤、ドラマチックな展開になることが増えます。
一方、麻雀大会などでは、「オカ」がないこともあります。主要プロ麻雀団体の公式ルールでは、設けていないことの方が多いです。「オカ」がないときは、最初に持っている点数は3万点で、「3万点持ちの3万点返し」といいます。1着のボーナスがないので、展開によっては、強引にトップを狙わずに「2着で十分」という戦術も有効です。ざっくりまとめると、「オカ」があれば積極的に1着を狙った方がよく、「オカ」がなければそうとも限らない――といえます。
インターネットの麻雀でも、「天鳳」には「オカ」がありますが、「雀魂」にはないなど、違いがありますので、注目してみてください。もっとも、「天鳳」や「雀魂」では、4着(ラス)をとると、段位を上げるのに必要なポイントが大きく減ってしまうので、トップを獲ることよりも、むしろ「ラスを避ける」ことが大切になります。
また、麻雀のルール以外に、そもそもその日に麻雀をする目的の確認が大事なときもありますね。例えば「40人が参加し、上位8人が表彰される大会」であれば、9位になっても40位になっても、「表彰されない」という意味では、価値は同じです。ベスト8に入るには相当なプラスが必要なので、どこかで大きなトップを獲るぞ!という作戦が有効です。
一方、「久々に会った友達と楽しく打つ」ことが目的なら、むしろ自分だけが勝ちすぎない方がよいかもしれません。
このように、麻雀では、最終的に実現したい目標とルールを確認し、一半荘ごと、一局ごとにテーマを考え、一打一打、選択を繰り返していくことになります。
自分で決めた目標に沿って、作戦を立てて、うまく行ったときの喜びはひとしおです。
私自身は、プロになって3年目、駆け出しの一選手で、その喜びを味わうことはまだ稀なのですが、日々の練習や対局をもとに、少しでもヒントになりそうなことを考えて、お伝えしていきたいと考えています。
次回の第2回も、ルール確認のポイントをご紹介します。