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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第31回 牌効率(その15)打点アップを意識しよう

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第31回 牌効率(その15)打点アップを意識しよう

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高校野球の取材をしていたとき、強いチームには、ある共通点があるのに気付きました。
選手みんなが、「一つ先の塁を狙う」意識が強いのです。

例えば、打者がシングルヒットを打ちます。普通は一塁で止まりますが、相手の外野手がお手玉するなど、少しでも隙をみせれば果敢に二塁を狙います。ヒットを打って「やったー」と喜んでいるのではなく、その先を考えているのですね。対戦相手からすると、常に緊張を強いられるので、やりにくいと思います。

麻雀も同じで、手が整ってきても満足せず、常に、少しでも点数が高くなるルートを意識すると、成績が向上します。

打点が高いプロ選手といえば、Mリーグ「セガサミーフェニックス」で活躍する近藤誠一選手でしょう。
Mリーグ2020レギュラーシーズンのデータを見ると、近藤選手の平均打点は8066.66点。全選手の中で1位です。5000点台や6000点台の選手も多い中、群を抜いています。

その思考がよくわかるのが、近藤選手の「麻雀の匠」の第7回です。

手が進み、次のようになります。

[西][西][赤五][六][6][7][8][③][④][④][⑤][⑦][⑨] ツモ[③] ドラ[③]

3枚目のドラを引いた嬉しい場面。[西]をアタマにしたピンフドラ3がはっきり見えますね。

[⑦][⑨]が不要なので、他家に安全そうな[⑨]を残して[⑦]から切るプロも多いと思いますが、近藤選手は[⑨]から切ります。
その心は、もし[⑦]を引けば、[⑦][⑦]をアタマにし、[西]を2枚切れば、タンヤオもつくからです。満貫では満足せず、さらに一歩先を見ているわけです。

この後は、思わず声が出る結末が待っていますので、ぜひご覧ください。

この近藤選手の判断は、打点を求めるかわり、安全度を少し犠牲にしていますので、すべての人にとって正解かはわかりません。一流プロ選手の中でも、スタイルによって、異なる判断をする人もいそうです。
ただ、少しでも打点を高くする意識は、勝ちきるためには必要なものです。「どうも、自分の攻撃はパワー不足だなあ」と感じている方は、近藤選手の放送対局や牌譜を見ることをおすすめします。

では、打点アップが期待できる、よく遭遇する場面を紹介していきましょう。

1)タンヤオに近づける

[一][二][三][⑤][⑥][⑧][⑧][⑨][2][4][6][7][8] ツモ[四]

[四]を残して[一]を切ると、タンヤオになることが期待できます。

2)サンショク(三色同巡)に近づける

[二][三][四][④][⑤][⑥][⑦][⑧][2][4][4][5][6] ツモ[五]

[二]を切ります。次に[六]を引けば、456のサンショクが期待できます。また、345のサンショクになる可能性もあります。サンショクは難しい役ですが、メンゼンでできると2ハンで、強いパワーを持っています。

3)イーぺーコーに近づける

[二][三][四][③][④][⑤][⑤][⑥][⑦][3][5][7][8] ツモ[⑥]

[③]を切ると、ピンズは[④][⑤][⑤][⑥][⑥][⑦] になります。次に[④][⑦]を引けばイーぺーコーができます。

4)イッツー(一気通貫)に近づける

[一][三][五][六][七][七][八][九][⑥][⑥][2][4][西] ツモ[四]

[七]を切ると、次に[二]を引くとイッツーができます。これは比較的わかりやすいですね。この形ですと先に[3]が入った時には三面張でリーチすることになるので、先に[一]を切らないという意識をしておきましょう。

5) チャンタや純チャンに近づける

[三][四][五][①][②][③][⑧][⑨][7][9][発][発][中]  
ツモ[二]

チャンタになりそうな手です。[五]を切ると、次に[一]を引いたとき、可能性がぐっと大きくなります。[赤五][赤⑤][赤5]があるルールだと、チャンタを狙う場面は多くないですが、メンゼンでできると2ハンなので、大物手につながりやすい役です。

6)ドラに近づける

[二][三][四][⑦][⑧][⑨][2][3][5][5][5][7][9] ツモ[五] ドラ[六]

[二]を切ると、ドラを使えるチャンスが生まれます。

[赤五][赤⑤][赤5]があるルールだと、一般に、牌を真ん中に寄せていくと、これら赤牌のドラを使えるようになります。

7)  カンを意識する

[二][二][二][八][八][④][⑥][3][4][5][6][7][8]  ツモ[八]

カンチャン待ちのテンパイで、リーチをかけていない場面だとします。もし、場に[二]が切られていて、[八]はまだ見えていない場合、[八]を残して[二][④][⑥]のどれかを切る手があります。もし4枚目の[八]を引けば、カンをして打点が増えるチャンスがあるからです。

同じ牌を4枚引く可能性は大きくはないですが、カンドラや、リーチ後のカンウラのドラが期待できます。まれに、カンした4枚の牌がすべてドラになり、一気に跳満や倍満に育つこともあります。

カンすると、他家の3人の手にもドラが増えてしまうリスクがありますが、自分が高打点が欲しいときには、有効な手段です。

なお、自分がポンした牌も、4枚目を引けば加カンすることができます。ポンした牌は、右手前に置いて視界から消えがちになるので、4枚目を引いたときに、気付きにくいときがあります(私もつい先日、見落として痛い思いをしました)。ポンしたときは、4枚目を引く可能性があるのか、引いたときは加カンするかを考えておきましょう。

8) 裏ドラがのる可能性を増やす

[一][二][三][②][③][④][⑦][⑧][4][5][9][北][北]  ツモ[9]

もし、場に[西]が4枚とも切られており、[8]は1枚も見えていないとすると、[9]を残して、[北]を2枚落とすことを考えます。将来リーチをかけてアガれた時、[北]が裏ドラになる可能性がないのに対し、[9]は裏ドラになることが期待できるからです。
アタマが裏ドラになると、一気に2ハンあがりますから、その可能性は常に確認しましょう。

9) 符ハネを意識する

少し応用編ですが、30符から40符になるだけでも、その効果は軽視できません。例えば、子の30符3ハンは3900点ですが、40符になると5200点で、1300点も違います。例えば、次のような場面を考えます。

[六][六][九][②][②][赤⑤][⑥] ツモ[九]  ポン[発][発][発] [中][中][中]

[九]を残し、[六][②]を切ると、打点アップのチャンスです。

[発][中]をポンしているので、それぞれ4符で、合計8符あります。さらに[九]もポンできると、合計12符になって、副底の20符+12符=32符。つまり40符3ハンにアップグレードします。

一方、[六][②]をポンしても2符しかつかないので、30符のままですね。


さて、偉そうに書いてきましたが、先日、先輩選手たちとの対局で、恥ずかしいミスをしたので、自戒をこめて紹介しましょう。

[三][四][五][六][六][七][七][八][九][②][③][8][8]  ツモ[④]

三面張の絶好のテンパイですね。
が、私はここから[六]を切ってしまったのでした。

[三][四][五][六][七]

という形が頭の中にあり、そこに余っている[六]を手拍子で切ったわけですが、この形だと、正解は当然[九]切りです。
タンヤオになりますし、[八]を引けばイーぺーコーですからね。

結局[二]をツモったのですが、私の手を見た3人は「なんでそこから[六]を切るんだ…?」とけげんそうな表情をして、いたたまれない気分になったのでした。。。反面教師にして頂ければ幸いです。

自戒は、、、ではなく次回は、「トイツの数をチェックしよう」というテーマでお届けします。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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