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朝倉ゆかりと西嶋千春、「象徴」は散り際にて輝く【麻雀ウォッチ プリンセスリーグ2019 予選第3節Aブロック2卓】

朝倉ゆかりと西嶋千春、「象徴」は散り際にて輝く【麻雀ウォッチ プリンセスリーグ2019 予選第3節Aブロック2卓】

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麻雀ウォッチ プリンセスリーグ2019の予選で、とりわけ過酷なのは、どのブロックなのか? もちろん出場選手はいずれもトップクラスの打ち手なのだけれど、そんな質問を関係者に投げてみたところ、最も声が挙がったのはAブロックという意見だった。首位を走る瑞原明奈は今年Mリーグ入りを果たしたし、2位の小宮悠も昨年度のファイナリストだ。他にもタイトルホルダーが勢ぞろいしている強豪ひしめくブロックを、さらに難関たらしめたのは――現在、女流最高位連覇中の「逆転の西嶋」こと西嶋千春と――4度の女流雀王戴冠の実績が光る「満貫セレナーデ」朝倉ゆかりの存在が大きかったように思う。

西嶋は最高位戦日本プロ麻雀協会、朝倉は日本プロ麻雀協会に属する全女流雀士の象徴と呼ぶべき存在だ。いずれも優勝候補と呼ぶにふさわしい実力と実績を兼ね備えているのだが――そんな彼女たちをもってしても、予選最終節をマイナスポイントで迎える結果となった。やはり麻雀界の王女の座を決める戦いは、簡単には事が運ばない。予選最終節、彼女たちと対峙したのは4位の松嶋、そして首位の瑞原だった。すでに大きくポイントを伸ばしている瑞原をまくるのは、あまり現実的ではないだろう。まずは最低でもプレーオフ進出を決めたい。そのためには、4位の松嶋に照準を合わせたいところではあるが、いずれにせよまずは初戦でトップの奪取が必須と言えるだろう。

そんな「象徴」たちの運命を握る一回戦――まずは瑞原の先制攻撃が炸裂した。リーチ・ピンフ・一発・ツモ・裏の2000-4000でアドバンテージを得たかと思えば――東3局、イッツー・ドラ2のリーチをかけた瑞原に西嶋が飛び込んでしまう。これが何と裏3! あまりに鮮烈な倍満が炸裂した。瑞原劇場は終わらない。ピンフ・三色・ドラ1のヤミテン満貫を張っていた瑞原に、今度は朝倉が捕まってしまう。リーチ宣言牌を捉えられ、12000の失点を喫した。

東場の時点でおよそ60000点を稼ぎ出し、西嶋や朝倉が渇望していた初戦トップの座は早くも危うくなった。ただし、すでに大きく抜けている瑞原がトップを取る分には、いくぶんマシな状況と言えるかもしれない。そう思っていた矢先、両者にとってさらに非情な展開が訪れた。南場の主役は松嶋だった。南2局4本場、親番の松嶋が高め三色のリーチをかけると――同じく三色に照準を定めていた朝倉がをつかんでしまう。この親満放銃で、朝倉は箱下になってしまう。松嶋の猛攻は終わらない。5本場でチートイツ・赤、4800は6300を西嶋からアガり――6本場ではポンから入ってをツモ。700は1300オールを加点した。さらに7本場でも松嶋はリーチをかけ、2000は4100を西嶋から和了。京大式小型肉食獣の怒涛の攻めにより、今度は西嶋も箱下になってしまう。もはや連対することさえ難しい。そんな局面に追いやられながら、南2局8本場に現女流最高位の意地が炸裂した。彼女が4巡目に放ったリーチは、チートイツ・ドラ2・赤1の跳満確定手だ。前巡にを切っており、尖張牌で1枚切れとはいえ、は比較的待ち頃の牌といえるだろう。自身の河も字牌から切り出しており、とてもチートイツには見えない。松嶋と瑞原がマンズの上目を早々に切り飛ばしていることも、判断材料の一つになったかもしれない。この渾身のリーチは――終盤になって実を結んだ! 会心の3800-6800を炸裂させ、最高の結果とともに自身の親番を迎えることとなった。一方――一人だけ取り残され、親番もない朝倉。赤2のこの手を、どうにか大物手に仕上げたい。ここでは456や567の三色を意識した切りとした。といった役牌も重なれば、仕掛けても満貫が見えてくる。手が進んで9巡目、チートイツの1シャンテンだ。あわよくば四暗刻も狙えるかもしれない。11巡目、ここでドラのを持ってきた。どの手役に照準を定めるか、ここが分水嶺となりそうだ。朝倉の選択は打。ここでチートイツに決め打った。佳境の三段目に入ったところで、朝倉はすでに捨てているを手元に残し、切りとした。瑞原の河がマンズのホンイツにも見え、警戒した格好だろう。大きくポイントをロスした状況で巡ってきた本手とはいえ、残り巡目も少ない中で1シャンテンから無謀な牌は打たない。守備意識の高い朝倉らしい一打だ。だが――テンパイしたとなれば話は別だ! ドラを重ねて猛然とを切ってリーチをかける! は、なんと山に2枚も残っている。これを――しっかりとツモりあげた! リーチ・ツモ・チートイツ・ドラ2・赤2、渾身の4000-8000をアガり、一撃で西嶋と700点差にまで並び立った。こうなれば――朝倉は着順アップのために全霊を尽くすのみ! オーラス、赤2のリーチをかけて西嶋を追い詰める。もちろん、西嶋だって負けてはいられない。オタ風のから積極的にポンをし、1シャンテンから前へ出ていく。この局面では、テンパイを取ることも必須だ。そして――当たり牌のを使って西嶋がケイテンを果たした。流局ならば西嶋の勝ちだ。だが――2枚目のは、さすがに止めようがなかった。リーチ・赤2――そして裏3! オーラスでまさかの跳満成就となった。朝倉は、わずか2局で28000点を稼ぎ出して被害を最小限に食い止めた。一方の西嶋は、痛恨のラスを喫してしまい。2戦目以降の条件が一気に厳しくなってしまった。そんな2回戦だが、相も変わらず瑞原が好調だった。赤・ドラの先制リーチをかけると――安牌が尽きた朝倉にが重なった。押し出されるように放たれた牌は――瑞原の8000点成就という結果を生んだ。次局も瑞原は手を緩めない。を早々に鳴いた彼女の手の内には、ドラが1枚に赤が2枚。またしても高打点の種がそろっている。そしてカン、ペンという絶好の牌を引き入れて、待ちのテンパイを果たした。ひとまず仮テンと呼んでいい格好ではあるが、瑞原はここから――切りからの単騎を選択! 打点は半減するものの、アガリ易さは尋常ではないほど跳ね上がった。慈愛に満ちた佇まいからは想像できないほど、あまりにえげつない選択だ。そして――今度は引きでの4メンチャンへとクラスチェンジ! この絶好すぎる待ちを前に――当たり牌を引かされた松嶋は丁寧に迂回ルートを選び取る。そして――西嶋にテンパイが入った。赤・ドラのある本手で、できればアガリに結びつけたい。を切ればの3メンチャンだが、これはフリテンだ。フリテン解消のためにを切れば、瑞原への放銃となる。万事休すかと思われたが――西嶋は鮮やかに正解ルートを選び取った。

「自分でを持っているけれど、それでもに自信がありました」

女流最高位を2度にわたって戴冠した彼女の読みの精度は――やはり正確だった! を一発でツモり、裏も1枚乗せての3000-6000。会心の一撃を成就させ、一気にトップ目へと浮上した。南1局は、スリリングな展開となった。松嶋がメンホンの1シャンテンからドラのをリリースすると――瑞原がポン! こちらはマンズのホンイツで、跳満以上が確定している。そんな鉄火場で、西嶋がひっそりとテンパイを入れた。そこに――松嶋が飛び込んだ。高めので3900点の加点。打点以上の価値があるアガリだ。だが、まだまだ予断は許さない。南2局は、瑞原がタンヤオ・赤2・ドラのヤミテンを入れ――松嶋も待ちのリーチに踏み切った! このリーチが――朝倉の切りを誘った。瑞原が8000点+供託1本の加点で、西嶋と2500点差にまで迫った。一方、先ほどの放銃でさらに状況が厳しくなった朝倉。迎えた南3局の4巡目、ここから力強く切りを選択。456の三色を本線とし、雀頭になりやすそうな余剰牌を残した。瑞原の切り、西嶋の切りから、はかなり感触が良さそうだ。高打点志向の朝倉らしい一打だと思う。この引きで、ようやくを手放した。ここではの安全度の比較だろう。1巡目にを切っている松嶋が、といったターツを持っている可能性は十分にある。または、親の西嶋の現物でもある。そして西嶋と瑞原がソーズの下目を切っていることから、これもまた山に眠っていそうな牌でもある。朝倉の持ち味といえば、手役を絡めた高打点の手作りと、多くのプロが高く評価する守備力だ。窮地に追いやられながら、彼女の本領が発揮されつつあった。そして――目論見通りの引きで、理想的な1シャンテンへとたどり着いた。

僕は確信している。この一局だけを見ても――朝倉ゆかりという打ち手の魅力が、十分に伝わることを。

彼女は道中でを引いてから跳満確定のリーチを入れ――鮮やかにツモアガってみせた。三色にこそならなかったものの、まさしく値千金の3000-6000だ。オーラス、ドラがトイツの朝倉はポンから発進する。西嶋や瑞原から直撃すれば着順アップするし、跳満ツモならトップまで駆け上がれる。マンズのホンイツやトイトイを絡めつつ、条件クリアを目指した。満貫出アガリで着順アップする松嶋が、この1シャンテンからを切ると――朝倉がこれをチー。トイトイは消えるが、カン待ちの満貫テンパイを入れた。3着から2着へ上がれば、20ポイントの順位点が入る。その可能性は最大限に残しつつ、ポンからの跳満ルートも残っている。そして、松嶋も強気にを切り飛ばして勝負をかける! リーチ・タンヤオ・赤2で条件クリアとなるならば、このを勝負する価値は大いにあるだろう。また朝倉も、このリーチ棒が出たことで満貫ツモでも2着浮上が可能になった。一方、南3局の朝倉の3000-6000を親かぶりしたことで、2着目に落ちていた西嶋。現状のトータルポイントを考えるならば、なんとしてでもこの手を成就させたい。ネックのカンを埋め、カン待ちに全てをかけた。そして――勝ち名乗りを受けたのは、松嶋だった――。渾身の満貫を炸裂させ、松嶋は3着に浮上。西嶋は、またしてもオーラスで涙を呑む展開となった。前半2戦で連勝を飾り、瑞原がさらにリードを広げる結果に。4位の松嶋は少しポイントを減らしたものの、朝倉、西嶋ともに依然厳しい状況には変わりがなかった。続く3回戦でポイントをロスするような事態に陥れば、プレーオフ進出は非常に危うい。まさしく正念場と呼ぶべき舞台だった。3回戦で展開が大きく動いたのは、東3局3本場だった。わずか4巡で松嶋がのシャンポン待ちのドラ1リーチで先制攻撃を仕掛けたが――腹を括った親の朝倉が、カン待ちで追いかける。これを僥倖の一発ツモ! 是が非でもトップが欲しいこの3回戦、早々に2300オールの加点をするとともに親権を維持した。そして、朝倉以上にトップを欲しているのが西嶋だ。東3局4本場では、ドラ単騎のリーチを仕掛ける! もはや状況が、彼女に悠長な選択を許さない。ツモれば満貫の手に、可能性を見出した。このリーチを受けた朝倉は、ペンのチーから――絶好のカン引き! 満貫以上が確定する2シャンテンで、なおかつ安全に手を進められそうだ。そして――瑞原もポンで参戦! タンヤオ・赤2の中打点は十分に魅力的だし、マンズが余っていない今なら朝倉に対してマンズを切りやすくもある。瑞原のポンでワンチャンスとなり、西嶋の現物でもあるが松嶋からあふれ、これで朝倉は1シャンテンに。だが、一手早く瑞原にテンパイが入った。続いて、朝倉に高め跳満のテンパイが入った! たどり着いた驚愕の手。だが、これだけの勝負手をテンパイするということは――さすがの朝倉でも当たり牌を止め切ることができない。瑞原が3900は5100のアガリを成就させ、2人の象徴の行く手を阻んだ。西嶋がテンパイ打牌で瑞原に3900を放銃した次局、彼女に失地回復に繋がるチャンス手が入った。メンピンドラの3メンチャン。これに飛び込んだのは――西嶋以上の勝負手を入れた朝倉だった。3900は4200を西嶋がアガったことで、ほぼ横一線のままオーラスを迎えることとなった。オーラス3本場の先手は瑞原だ。待ちの盤石の3メンチャンリーチをかける。役はピンフのみだったが――安牌がなく、手格好も十分な西嶋が一発で放銃してしまう。さらに裏ドラも1枚乗り、望外の満貫へと昇格を果たした。次局、アガれば朝倉をまくって2着に絡める松嶋は、のヤミテンシャンポンから、を引いて3メンチャンに。ここでリーチをかけた。跳満ツモならばトップへと一気に浮上できるため、必然のリーチと言えるだろう。こうなると、ノーテンのまま流局でも着ダウンする朝倉は、前に出ざるを得ない。首尾よく当たり牌のを重ね、チートイツ・ドラ2の1シャンテンとなった。こちらも跳満ツモで着アップの可能性が十分に見える手だ。しかし――メンツ手へと変化した結果、無情にもが飛び出す格好となった――。リーチ・タンヤオ・ドラ・赤・裏の9200点のアガリ。それは――朝倉と西嶋の敗退を、事実上決定づける結末だった――。

それでもなお散り際にて輝くのが、彼女たちが「象徴」たる所以なのだと思う。第17期女流最高位決定戦に挑んだ西嶋は、最終戦オーラスで劇的な逆転を飾り悲願のタイトルを手にした。今年のプリンセスリーグで、西嶋の逆転劇は叶わなかった。だが――切れ味鋭い攻撃力を、存分に感じられる局面も多々あった。彼女は間違いなく、今後も最高位戦の女流雀士たちを牽引する「象徴」として活躍し続けることだろう。「アガった時のメリットが大きいという選択肢ばかりを取るのではなく、しっかりアガリきることが大事という局をもうちょっと増やしたらいいのかな」

女流プロの中でトップクラスの実績を誇る朝倉だが、それでも今回の敗退を受けた直後から、自身の反省点を見つめ直していた。近年だけでも、朝倉はここぞという局面で踏み込む機会を増やし、スタイルチェンジに努めている。今回の敗退を受け、朝倉はきっとさらに強くなるのだろう。協会の「象徴」が、これまで以上に躍進することを期待して止まない。予選Aブロックの対局が終了し、儚くも散った王女候補たち。しかし残る対局もまた、これまで以上に激しさを増していくのだった――。

この記事のライター

新井等(スリアロ九号機)
麻雀スリアロチャンネルの中の人。
ナンバリングは九号機。
スリアロでのポジションをラーメンに例えると、味玉くらい。
お酒があれば、だいたい機嫌が良い人です。

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