戦術本『麻雀の2択』のレビューを始めさせていただきました。こちらでは本書で取り上げられている、「データの泉」を元に思うところを徒然なるままに書かせていただきます。データの具体的な数値については、是非とも本書を購入のうえ御確認下さい。
「データの泉」89p
河の二段目くらいからは他家からリーチがかかることを意識した方がよいということは、データ研究が進む前からよく言われてきました。前回の役満の出現率と異なり、こちらはそれほどルールや対局者の影響を受けてなさそうです。
打点重視の打ち手が多いとリーチの平均巡目が遅くなりそうな気もしますが、「序盤の高打点テンパイを手数重視の打ち手はダマ、打点重視の打ち手はリーチ」「手数重視の打ち手は終盤にテンパイしてリーチ、打点重視の打ち手はテンパイしなかった。」というケースもあるので、平均巡目でみれば大差つかないということかもしれません。
他家からそろそろテンパイが入るのではないかという意識自体は重要ですが、注意しておきたいのは、リーチの平均巡目は早い段階でリーチが入ったケースも含まれているということ。7巡目までにリーチが入らなかったという前提であれば、他家からリーチが入る平均巡目はもっと遅くなります。
このことを踏まえておかないと、手牌や局面に関わらず、中盤過ぎになる前には安手でもテンパイに取るようにする、中盤までに安牌を抱えておくといった目安通りに打つことそのものが目的になってしまい、勝ち味が薄い打ち方になってしまう恐れがあります。全体的なデータはあくまで目安として用いるものであり、あくまで優先すべきは個別の手牌、局面です。
手牌に安牌を持つかどうかを考える際は、誰が早そうか、安牌を持つことが効果的かどうかも同時に意識しておくようにしたいものです。早そうな相手がいたとしても、その相手に通っている牌は豊富にあるうえに、リーチが入るようであればいずれにせよベタオリするのであれば安牌を抱える必要がありません。 安牌残しが効果的なのは、「安牌が少ない、あるいは安牌を抱えていれば押し返せる手順が残せる」場合です。
リーチが入る1手前は1シャンテンですから、誰が早そうかを考えるということは、1シャンテンになっているかどうかを意識することでもあります。分かりやすいケースは使いやすいドラ切り。手牌で使いやすいドラを2シャンテンから切るケースは中々思いつかないので、1シャンテンにはなっているだろうという感じです。これを突き詰めていけば、「この局面でノーテンからこの牌が切られることは想定しにくいので、ダマテン濃厚。」というように、一般的に生起確率が低いからケアしない方がよいとされるダマテンであっても、個別の局面に意識を向けることで判断できる場合も少なからずあるのではないでしょうか。