運や実力という言葉も人によって案外使い方が違うのでなかなか議論しにくいものですが、私は平均順位の観点から実力者が好成績を出せるルールほど、実力差が出やすいルールと考えます。赤有りにするとそれだけ平均打点が上がるので、平均収支ベースで赤無しと比較するのは難しいためです。
運の要素が少ないルールとなると、より少ない試合数でも実力者が好成績を出せるルールということになりますが、麻雀は配牌、ツモという根本的な抽選の要素がある以上、運の要素を減らしたところで、短期の結果だけで実力を測るルールにするのは無理があります。よって、運の要素よりは、実力差をつけやすい要素に着目した方がよいと考えます。
しかし、赤有りと赤無しで、しかも同卓者の実力差が同程度であることが保証されたうえでの長期データが必要になるので、実際に比較してある例を見ることはありません。よって今回も私の主観でしかありませんが、赤有りルールにおける戦績をもって、「少なくとも赤有りになることで実力差が出にくくなるとは考えにくい」という例を示してみたいと思います。
「現代麻雀技術論」コラム内で取り上げたフリー雀荘の成績は、当コラムでも何度か御紹介しているCさんの記録です。1000戦以上打って平均順位2.1。平均順位2.1というのは、『科学する麻雀』で示されていますが、オンライン麻雀「東風荘」の平均的なレベルの打ち手相手に最強レベルの打ち手がマークできる成績です。
しかも、オンライン麻雀をプレイされたことのある方なら御存知かと思いますが、ルールをよく分かってなさそうな人や、試合を途中放棄する人を含めたうえでの平均です。Cさんの記録は都内の大手雀荘チェーンにおけるもの。フリー雀荘だからといってレベルが高いとは限りませんが、少なくとも全くの初心者の段階でフリーに出向こうと考える人はあまりいないのではないでしょうか。
Cさんがそれだけずば抜けた雀力の持ち主であるというのも確かですが、私はこの記録をもって、少なくとも赤有りだからという理由で実力差が出なくなるとは考えづらく、むしろかえって出やすくなるのではないかと認識を改めたことを記憶しています。