皆様は、「タモリの四カ国語麻雀」を御存知でしょうか。芸人のタモリさんが、持ちネタの「インチキ外国語」で、あたかも各国の人達が卓を囲んで麻雀をしながら会話をしているように見えるという密室芸の一つです。
記憶する限りでは、私が麻雀を打っている(ように見える)シーンを初めて見たのがこの四カ国語麻雀でした。新聞の番組欄に「麻雀」という言葉が出てきたものだから、麻雀を打たずにして麻雀の虜だった当時の私は楽しみにしていたのですが、幼稚園児に芸の面白さが分かるはずもなく、実際に麻雀を打つわけじゃなくて残念と思ったことを今でも覚えています。
私が実際に麻雀を打つようになるまでのことは後日お話するとして、このエピソードからふと、タモリさんの師匠でもある、漫画家の赤塚不二夫さんのことを思い出しました。赤塚さん麻雀愛好家としても知られ、「ニャロメのおもしろ麻雀入門」という麻雀本を出版するほど。2016年に大ヒットした「おそ松さん」の第21話で麻雀が題材にされた(しかも麻雀漫画のネタがふんだんに盛り込まれるほどのコアな内容)のも、「おそ松くん」の原作者である赤塚さんが大の麻雀好きであったからでしょう。
2008年に赤塚さんが亡くなられ、タモリさんが弔辞を読まれたのですが、それによると、赤塚さんは麻雀で相手が機嫌を悪くすることが無いように、決してロンアガリをせず、アガリ牌をツモるまで待っていたそうです。もちろんこのような打ち方では勝てるはずもなく、赤塚さんが麻雀で勝っているところを一度も見たことがないとも言われていました。
それだけ赤塚さんが勝ち負けにこだわらず、器の大きい人物だったことをうかがわせるエピソードです。しかし、誰しもが自分の勝ちを目指すように打ってこそ、麻雀というゲームが成立し、面白くなると考える私としては少し悲しくもなります。
麻雀に限らず、何かで上手くなって結果を残すためには、どの選択が最善であるか、言い替えれば、「これでいい」ではなく、「これがいい」と言える選択を追求する必要があります。しかし、そればかりでは人生何かとしんどいものです。赤塚さんの漫画の登場人物、バカボンのパパの「これでいいのだ」というセリフは、「これがいい」というこだわりから離れて、現実を受け入れて気楽に生きなさいというメッセージにも聞こえます。
しかし、麻雀は4人で打つゲームである以上、他家に迷惑をかけまいと自分が損を被っても、それが別の他家に損失につながることもあります。麻雀に限らず、誰しもが様々な相手と関わりを持つのですから、迷惑をかけずに生きることはできません。だからこそ、「迷惑をかけてはいけない」ではなく、「迷惑をかけるのはお互い様だから、他人の迷惑な振る舞いにもお互いが少しずつでも寛容になろう」という考え方が、もっと広まって欲しいと願います。それでこそ、誰しもが自分の人生を「これでいいのだ」と受け入れていけるようになるのではないでしょうか。