- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
第6章 鳴きの判断
case63 鳴きを駆使してバリエーションを増やす
前回まで取り上げた鳴きはいずれも「鳴くとシャンテンが進む」鳴きでしたが、シャンテンが進まない鳴きは鳴ける選択肢があることを見落としがちです。
牌姿1はドラがトイツなので、メンゼンでなくてもアガれば高打点が狙いやすいというのがポイント。このような時はメンゼンにこだわらずに役をつけて仕掛けがきく手組に出来ないかを意識したいですね。
もし牌姿1でドラが無ければどうでしょう。鳴いても2000〜3900は見込めますがテンパイ時は悪形残り。メンゼンならリーチのみでもツモ裏込みで2500点程度が見込めて良形が残る場合もあれば、運良くにくっつけばメンゼンで純チャン、三色の手に手変わりする可能性もあります。メンゼンなら1回多くツモれることも踏まえれば、序盤でが薄くなく、打点が必要な局面ならスルーが有力とみます。
役無し手から鳴いて純チャン、三色に持ち込める場合でもスルーが候補になるので、ドラが1枚以下で鳴くと安手確定の場合は、手役が見える形であってもメンゼンを崩してまではシャンテンの変わらない牌はスルーすることが増えます。形だけでなく打点も踏まえて判断するようにしましょう。
更に言えば牌姿1は、が純チャン、が一通、字牌がチャンタの浮き牌として使えるのですから、もし一手前の段階でこれらの浮き牌が残っていたのであれば、2シャンテンに戻りますが変化を最大限にみる打がよいかもしれませんね。アガリのバリエーションを増やすのであれば、鳴きだけでなく鳴きを入れる前の手組にも着目するようにしましょう。
case64 チートイツからトイトイに狙いを変える目安は?
基本的に、チートイツ1シャンテンでもアンコがあるなら鳴いてトイトイ1シャンテンにする方が明確にアガリやすく、アンコが無くて鳴くとトイトイ2シャンテンの場合は、トイツが比較的鳴きやすければトイトイの方がややアガリやすいくらいとなります。
アガリやすさだけでなく打点も重要です。リーチやメンゼンツモはチートイツにだけ付きますが、役牌がつくのはトイトイだけ。牌姿1、2は役牌があるので鳴いてトイトイでも打点をカバーできるので明確に鳴き有利ですが、牌姿3だと鳴くとトイトイのみになりやすいので微妙なところ。局面がアガリやすさ重視か、打点重視かで判断を変えることも多そうです。
case65 形式テンパイを取る鳴きの目安は?
形式テンパイは軽視されがちな風潮がありましたが、その理由の一つとしては、「序中盤の早い形式テンパイ」に取るのはかなり損であるためではないでしょうか。どんな手役があるかもあやふやな初心の頃に、仕掛けても役が無くて困ってしまった経験がある人も少なからず居ると思います。
しかし終盤、あるいは中盤以降でも放銃リスクを負うに見合うテンパイを目指すことができない場合は、安牌を切りつつ形式テンパイを目指すに越したことはありません。アガリが厳しい場合に放銃を避ける技術がある程度身に付いたら、今度は単に降りるだけでなく、形式テンパイの可能性にも着目するようにしたいですね。
case66 カンをする目安は?
カンのデメリットに疎いが故にリスクが高いカンを多用する打ち手が少なくないためか、必要以上にカンを嫌う打ち手も一定数見受けます。しかし自分がアガった場合の加点のメリットも大きいので、自分の手牌がアガリに近いのであれば案外カンした方がよいことが多いものです。ただし牌姿2のように、4枚ある牌をカン材と決めずに、3枚+1枚と見た方がよいケースがあることも忘れないようにしましょう。
麻雀技術の教科書
読めば勝率が上がる! すべての雀士必携! 新しい麻雀戦術書!
麻雀の打ち方は人それぞれです。
本書の著者の二人を比べてみても、井出プロは手役重視、
小林プロはスピード重視と、スタイルがかなり違います。
打ち方が正反対の二人に共通する考え方があれば、
それは、現代麻雀のセオリーといえるのではないか。
この問いから、本書は生まれました。
「アガリ方の基本を1冊に」
「複雑な牌姿でも、迷わず打てるように」
というのが基本方針ですが、
ルールを覚えたばかりの人でも読めるように
丁寧に解説することを心がけました。