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ネマタの戦術本レビュー第1097回「『麻雀技術の教科書』編 その29 著:井出洋介・小林剛」

ネマタの戦術本レビュー第1097回「『麻雀技術の教科書』編 その29 著:井出洋介・小林剛」

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ネマタの戦術本レビューとは
  • 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
  • ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。
  • 第1回から読みたい方は、目次からご覧ください!

当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。

第6章 鳴きの判断

case59 鳴きのメリットとデメリット

鳴きのメリットとデメリットは本書の通りですが、実際に鳴くかどうかは、鳴いた手牌と鳴く前で手牌の価値がどちらが高いかに着目するのが基本であることをまず押さえましょう。鳴きという行為そのものにとらわれると正確な判断をすることが難しくなります。

それを踏まえたうえで、「どちらも同じ程度」と判断するのであれば、どちらかと言えば鳴かずに手を進めることをお勧めします。何故なら鳴かなければ1回多くツモることができるからです。従来の戦術書はツモ番1回を過大評価しがちでしたが、昨今の戦術論で意外性のある鳴きが着目される時はこのメリットが無視されがちな傾向にあるように見受けられます。鳴くかどうかは鳴きそのものより手牌に着目。ただし手牌だけで優劣微妙ならスルー寄りというのが最近の私のスタンスです。

case60 喰い下がりが大きい場合は鳴かない

本書ではポンテン、チーテンを基本として牌姿1の手牌でリャンメンからでもチーテンを取ることを推奨していますが、良形から鳴いて悪形が残る場合は、悪形から仕掛けて良形が残る場合よりスルー有利になる領域が結構大きいことがデータでも示されています。打点差こそドラ0よりドラ1のケースが大きいですが、着目すべきなのは差よりも増減率なので、ドラ0とドラ1では鳴くかどうかの基準が実はそれほど変わらないというところにも着目すべきでしょう。

初心のうちは半端な手から放銃するミスが多く、自分の手にドラが無い時ほど放銃打点が高くなることを踏まえると、基準よりはやや早めにテンパイを取り、先にアガってしまうことで放銃を回避するのが望ましいという考え方もあります。しかし、「いつになったら打ち方を切り替えるべきか」の指標を明示することが難しい以上、私としてはあくまで手牌と巡目を鳴き基準のベースとする方針で解説するようにしています。

牌姿3のようにリャンメンが揃っていて、鳴くと安い場合は結構遅い巡目までスルー有力。局収支でも差がつきやすいので、本書はポンテンチーテンを基本としていますが、「テンパイに取れるけど取らない方がよい」ケースを先に押さえておくことを個人的にはお勧めします。

case61 遠い仕掛けの場合は急所から鳴く

メンゼンで進める最大の利点は、リーチやツモ、裏ドラで高打点が狙えることです。アガリに近い手ほどメンゼンでテンパイしやすいのですから、逆に言えばアガリに遠い手はメンゼンにこだわらずに積極的に仕掛けた方がよいとも考えられます。

しかし、必ずしもそうとは言えないのが鳴きの難しいところ。アガリに遠い場合は、鳴いても間に合わず、テンパイする前に別の他家のテンパイが入ってしまうことも増えます。この時は鳴かずに手を進めていれば降りやすいので、結果的に鳴かない方がよかったということになります。

牌姿4、5のような仕掛けも、1シャンテンの手牌ほどメンゼンでテンパイしづらく、鳴いても打点が下がりにくい。牌姿7、8、9も鳴くことでアガリやすくはなり打点も下がりにくい。他家も親のダブ仕掛けには警戒しがちというのもありますが、警戒してこない相手にはダブにドラ単騎の満貫テンパイになってもアガリを取れることが多いです。よって個人的にはこれらの仕掛けも悪くないとみます。

ただし、鳴きという行為のメリットばかりに着目し、遠い仕掛けが持つデメリットに対する意識が疎い打ち手が、これより更に悪い条件で遠い仕掛けを入れているのもよく見受けます。繰り返しになりますが、鳴きそのものの持つ効果よりも手牌に着目して鳴くかどうかを判断するようにしましょう。

case62 役牌の後付けで仕掛けるポイントは?

本書の表現だと役牌からはスルーした方がよいとも取れますが、守備力が下がりやすいとはいえ、役牌からポンした方がアガリやすいことを踏まえると基本は役牌からでもポンすることが多いです。役牌からスルーはもっとアガリに遠いが、テンパイを目指すうえでは放銃リスクを負わずに手を進められる時の選択というのが個人的見解です。

これがリャンメンがある牌姿になれば、リャンメンからはスルーすることが多いでしょう。アガリにまでは近づくとはいえ、役牌をアタマにしてアガることができなくなるので、役が確定している場合のリャンメンチー以上にアガリ率上昇が見込めません。アガリに遠い手といってもメンゼンでうまく手が進めばリーチで加点できるチャンスが残るのですから、それならスルーしておくに越したことはないと考えます。

麻雀技術の教科書

読めば勝率が上がる! すべての雀士必携! 新しい麻雀戦術書!

麻雀の打ち方は人それぞれです。
本書の著者の二人を比べてみても、井出プロは手役重視、
小林プロはスピード重視と、スタイルがかなり違います。

打ち方が正反対の二人に共通する考え方があれば、
それは、現代麻雀のセオリーといえるのではないか。
この問いから、本書は生まれました。

「アガリ方の基本を1冊に」
「複雑な牌姿でも、迷わず打てるように」
というのが基本方針ですが、
ルールを覚えたばかりの人でも読めるように
丁寧に解説することを心がけました。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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