- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
- ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。
- 第1回から読みたい方は、目次からご覧ください!
当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
第5章 リーチの判断
case55 サンショク手変わり待ちか?リーチか?
前回取り上げたリーチの優位性を踏まえると、牌姿3くらいの手牌でも、基本はリーチ有利となりそうです。しかし基本はリーチだからこそ実戦では例外ケースを考慮したいところ。供託や点数状況の影響で手変わり無しでも平和のみダマが悪くないので、あわよくばの手変わりも踏まえればダマにすることもあるでしょう。
もう一つは何が何でも満貫手にしたいケース。平和リーチはツモって裏ドラが1つ乗っても満貫に届きません。ダマにしていれば先にアガリ牌をツモった場合も、アガらずに高めサンショクのフリテンリーチを打つことができます。アガれなかった場合の失点も踏まえると実際にやることはあまり多くないと思いますが、一応選択肢の一つとして押さえておきましょう。
case56 アガリやすい愚形リーチとは?
愚形は待ちの種類によってアガリ率が結構変わります。昨今ではテンパイ即リーチと言うけれど、成績上位者のリーチ率が必ずしも高くない(むしろ下位者より低い傾向が出る場合もある)ことに疑問を持った方もいらっしゃるかもしれません。その理由の一つとして、成績上位者は良形はもちろん、愚形でも比較的アガリやすい待ちを残す技量に長けているというのが挙がられます。
リャンメン以外の待ちでアガリやすい待ちの代表と言えば字牌待ちですが、テンパイする前に他家に切られてしまって待ちが無くなる場合もあります。しかしこれはデメリットではありません。待ちが無いのでリーチしない方がよく、他のところで待ちを作った方がよいと分かるのですからむしろメリットです。リーチしない方がよいとはっきり分かるケースが増えるのですから、比較的アガリやすい待ちを残すことを意識していると、リーチ率自体は下がりやすくなるのです。
リーチ率は高いけれど、アガリ率はイマイチ伸びてないという方は特にこのあたりを意識しておくといいと思います。他家に使われやすいカンチャンでも一般論としてはリーチがよいことが多いのですが、テンパイ以前の段階でより強い待ちを残すことが出来たかもしれません。
case57 追っかけリーチはシャンポン待ち?リャンメン待ち?
追っかけリーチということは、ツモの抽選を受けられる回数が先制リーチよりも低いということですから先制以上に待ちの広さが重要になります。目安としてはp163くらいの基準でよいと思いますが、テンパイ時に切る牌が先行リーチにどの程度通っているか、リーチ以外の他家から字牌が出ることがどの程度期待できるかでも判断が変わりやすいので、この辺りも個人的に研究課題です。
case58 チートイツでリーチする場合の待ち選択は?
子のドラ無しチートイツは出アガリ1600ですが、リーチツモで6400、更に裏ドラが乗れば12000。リーチによる点数増加率が極めて高い手です。しかも字牌や端牌の単騎にはなってもリャンメン待ちへの手変わりは無いので、待ちが悪くても基本は即リーチがよいということになります。
しかし、メンツ手のようにターツを作る必要が無いので、テンパイする以前の段階でアガリが期待しやすい待ち牌を持っておく余裕があります。同じ待ちでも牌姿1のように切り順で出アガリしやすさに差がつく場合もあります。メンツ手と違った手作りを要求されるうえに、アガれるかどうかで結果にかなり差がつきやすいので、全体の出現率こそ低いとはいえ、個人的にはチートイツ狙いの手作りは思われている以上に重要度が高いと考えます。
麻雀技術の教科書
読めば勝率が上がる! すべての雀士必携! 新しい麻雀戦術書!
麻雀の打ち方は人それぞれです。
本書の著者の二人を比べてみても、井出プロは手役重視、
小林プロはスピード重視と、スタイルがかなり違います。
打ち方が正反対の二人に共通する考え方があれば、
それは、現代麻雀のセオリーといえるのではないか。
この問いから、本書は生まれました。
「アガリ方の基本を1冊に」
「複雑な牌姿でも、迷わず打てるように」
というのが基本方針ですが、
ルールを覚えたばかりの人でも読めるように
丁寧に解説することを心がけました。