手組の達人第24回 #何切る
— ネマタ (@nemata1632) June 14, 2020
東1局南家2巡目 ドラ白
113478m246p126s西西
ドラ
今回は『ネット麻雀・ロジカル戦術入門』の牌姿を取り上げました。打ち手の方は浮き牌を切りましたが、知人がのペンチャン切り以外有り得ないと反論。どうしても納得いかなかったので著者の福地氏に質問されたとのこと。これに対する福地氏の回答はどちらでもない切り。平和をつけやすくことを狙った選択ですが、果たして正解はどれでしょうか。ペンチャンと浮き牌、あるいはペンチャン以外の「リャンメンを作りにくいメンツ候補」の比較。これまで長年議論されてきた、麻雀打ちにとって永遠の課題です。
今回も「迷ったら一手先の形で比較」。から切ってもをツモってメンツが完成すればペンチャンを外すことになります。この時先にペンチャンを外してが残っていれば、周辺の変化が残っている分有利と言えます。これがペンチャン落としのメリット。今回のようにメンツ候補オーバーの手牌であれば、ペンチャンを落としてもシャンテン戻しにならないので、ペンチャンを落として3〜7の浮き牌を残す方がよいと言えます。
しかし、このロジックにも限界があります。いくら手変わりが強かろうと、最終的にアガリに結びつかなければ加点することができません。本書の回答者であったC氏は、すぐを引くようでなければアガリは厳しいという理由で打と回答されています。
一方、同様の問題が何切る掲示板で出題された時、H氏は打と回答。(C氏、H氏はいずれも、『現麻本実践編』のコラムで私が名前を挙げている強豪雀士です。)いずれにせよアガリに遠い牌姿なので、ツモからアガれる手順を逃したくないというのがその理由でした。
実は本書の手牌の出拠元は赤無しだったのですが、本書が発売された頃にはネット麻雀も赤有りが主流。当時の私は、打としそうだけど赤無しなら打の方が良いかもしれないくらいに考えていました。
しかし、改めて問題を見てみると、今回の手牌は単にペンチャンと浮き牌を比較すればよいというわけではないことに気付かされます。先ほど、から切っても一手進めばペンチャンを外すことになると書きましたが、を切ってをツモった牌姿を考えます。
ここでペンチャン落としではなく打とする手があります。どこから切ってもテンパイ時に良形が残りにくい形。ならばツモで高めチャンタ、三色になる変化を残すに越したことはないでしょう。ペンチャンが残っていればツモの234三色変化も残ります。先にペンチャンを落としていた場合はこの変化をみることができません。
次に、打としてをツモった牌姿を考えます。
こちらはペンチャンを落とすのですが、ツモからの一通変化に加え、ドラ等を引いた場合にマンズホンイツに移行する手順も押さえておきたいところ。最初の手牌で打とするとこの変化をみることができません。
よって、今回の手牌は赤有りルールを想定しても、運良くアガリに結びついた時に高打点のアガリになりやすい打に分があると判断します。
「ペンチャンと浮き牌の比較」と考えると、どちらがメンツになりやすいかという話にばかり着目しがちですが、実際は手牌に応じて判断する必要があることに改めて気付かされます。
目安としては、「一手進めばすぐに落とすようであれば先にペンチャン落とし、一手進んでもペンチャンを落とさないツモがあるならペンチャン残し」。ペンチャンと浮き牌に限らず、どちらを切るかで迷ったら、どちらでもない牌に着目して判断することをお勧めします。
手組の達人第25回
ドラ