2月20日、東京競馬場で「フェブラリーステークス」というG1レースがありました。
日本の中央競馬では、このレースが1年で最初のG1で、このレースは、華やかな春競馬のシーズンを予感させる楽しみな一戦になっています。
さて、競馬や競艇を予想すると、自然と「順列」や「組み合わせ」に強くなります。
馬券や舟券は、何通り買うか?が重要だからです。
競艇は6艇で争われるので、3連単(1位、2位、3位を着順通り予想する)は6×5×4=120通りの買い方があります。
舟券は100円から購入できます。全120通りに100円ずつ投じると、1万2000円ですね。
つまり競艇では、1万2000円出せば3連単が全通り買えて、100%当たります。
もっとも、配当が1万2000円を超えることはそれほどないので、全通り買う方式だと、お金が続きませんが…。
3連複(3位までに入る3艇を予想し、順位は問わない)は、「6艇の中から3艇選ぶ組み合わせ」になり、
6×5×4/3×2×1 で20通りになります。
競馬は、日本では最大18頭立てです。18頭では、 3連単は18×17×16、実に4896通りもの買い方があります。
この中で当たるのはわずか1通り(同着時を除く)。それを的中したときの喜びは、何ともいえません。
ちなみに3連複は、18×17×16/3×2×1 で816通りです。
で、競馬を予想した直後に競艇をすると「3連単で120通り、3連複で20通りしかないのか。軽く当たりそうだな!」と感じるんですよ。ところが、これがなかなか当たらない。あるいは、当たっても配当が安く、いわゆるトリガミ(投じたお金よりも配当が安いこと)になります。世の中そんなに甘くない。
さて、麻雀の待ちで、もっとも多くの種類があるのは、シャンポン待ち(シャボ待ち)です。
と、となど、いくつもの組み合わせがあります。
麻雀牌は34種類あるので、34×33/2で561通りにもなります。
561通りもあると、なかなか予想しにくいですね。
麻雀漫画でも「そのリーチはとのシャンポン待ちだな!一点で読んだぜ」みたいなシーンはそれほど見かけません。あまり現実的ではないからでしょう。
では、メジャーな存在のリャンメン待ちは、何通りあるでしょうか?
答えは、18通りです。全部書き出すと以下のとおりです。
561通りもあるシャンポン待ちに比べて、18通りだけであれば、地道に数えればいいんじゃないか?
というのが、今回の「残りスジ」の発想です。
もし、相手がいきなり字牌を切ってダブルリーチをかけた場合、もしリャンメン待ちなら、上記の18通り、すべての可能性が残っていますね。どれだか全くわからない。
ただ、普通はリーチ前にいくつか牌を切っているので、ヒントがあります。
例えば
リーチ
の河であれば、
のリャンメン待ちである可能性はありません。
18種類のうち、4種類が否定され、リャンメン待ちの可能性は以下の14通りに減りました。
この状態を、「(18本のうち)残りスジが14本ある」と呼びます。
待ちがリャンメンで、かつ14本がすべて同じぐらいの危険度だと仮定すると、例えばを切ったときは、が1/14の確率で当たるので、放銃率は1/14、約7.1%です。
もしを切ると、との2パターンで当たりうるので、放銃率は2/14、約14.3%になります。
そして、この状態からさらにが通ったとすると、可能性がどんどん減っていき、表は
になります。残りスジは8本だけになりました。
ここでやを切ると、8本のうち2本を選ぶことになるので、放銃率は2/8で25%になります。「かなり危険で、だいたい当たる」という感覚ですね。もっとも、それでも「4回に1回しか当たらない」とも言えるのですが。
残りスジの効用、大まかな危険度をはかり、押し引きの判断に使えることです。
対局後のインタビューなどでは「残りスジがまだ15本あったので、前に行きました」というような話を聞くことがあります。
つまり、リーチ者の具体的な待ちは分からないけれど、ある牌を切っても1/15しか当たらないのであれば、自分の手が行けそうなら気にせず攻める、というような考え方ですね。
一般論としては、残りスジが10本程度が境界線とされることが多いです。残りスジが一桁になると、1割以上の確率で当たることになるので慎重に考えましょう、という感覚です。
実のところ、この感覚は実戦でとても大切です。
というのは、リーチの具体的な待ちを読むことは難しいですが、残りスジは、リーチを受けたときに必ず毎回使える考え方だからです。おそらく、残りスジが14~15本ぐらいで毎回オリていると勝てないでしょうし、残りスジが1ケタなのに無理に押す場面が多くてもNGでしょう。
ときどき、実力者がリーチに対して涼しい顔で危険牌を切るのを見て、「待ちがわかっているのかな?」とびびることがありますが、実際は「まだ残りスジがいっぱいあるから、だいたい通るでしょ」という判断理由のことが多いです。
では、この便利な残りスジは、実戦でどう数えればいいでしょうか。
18通りの絵を書いた紙を持ち込み、可能性が消えたところを斜線で消していけば分かりやすいですが、対局中に行うのは難しいですよね。
(実戦ではなく、練習の時に試してみるのはよいと思います。あるいはインターネット麻雀だと、手元に紙を置いてできるかもしれません)
実戦での方法は、「4~6の牌なら2本、1~3、7~9の牌なら1本と数えて足し算し、18本から引く」ことが有効です。
上記の
リーチ
であれば、とが1本ずつ、が2本なので、合計4本。
18本から4本を引けば、残りは14本です。
これなら暗算でできそうすね。リーチを受けたときに、ぜひ試してみてください。
なお、今回の残りスジが10本程度が境界線という話も目安の一つに過ぎないので、ケースバイケースで考えることが大切になります。
もともと残りスジは、相手がリャンメン待ちであることを前提にした考え方なので、それ以外の待ちだと通用しません。
また、現実には、18本のスジの危険度は同じではありません。ワンチャンスやドラなど様々な要素で、危険度には濃淡が生じています。
また、戦況によって「この人にだけは今絶対に振り込めない」という場合は、残りスジが何本あろうがベタオリでしょうし、逆に、自分がとても高い手を良形でテンパイしているなら、残りスジが数本しかなくても攻めるケースがあるでしょう。
残りスジはとても重要な考え方なのですが、あくまで押し引の目安の一つと考えて、有効に活用していただければと思います。
次回は「リーチを受けた時の他家の反応」の重要性を紹介します。