先制リーチを受けたとき、自分の対応を考えることは当然ですが、同時に、視野を広げて確認すると良いことがあります。
リーチ者以外の他家2人がどう対応するか? です。
他家がオリているようなら、リーチ者に専念すればよさそうです。
しかし、オリていなければ、どうでしょうか?
序盤で、まだ残りスジが多いときは、「安全牌がないので前に出ているだけ」の可能性もあります。
ただ、多くの場合は、他家も攻撃態勢にあることを意味します。
具体的には「既にテンパイしている」「受け入れの広いイーシャンテン」「打点が高い」などの状態ですね。
となると、リーチ者だけでなく、他家もケアする必要が出てきます。
リーチに気をとられていると、思わぬ方向から「ロン」と言われ、痛い思いをする経験は誰しもあると思います。
最近のMリーグの対局で、具体的に見てみましょう。
牌譜ビューアー(Mリーグのオフィシャルサポーターになると見られます)から引用します。
2022年2月28日の第1試合の東1局。親の茅森早香選手がリーチをかけました。
直後に、滝沢和典選手は親の現物を切っています。
一方、園田賢選手は、切りです。は安全牌ではないですし、スジやノーチャンスなどでもありません。
切りは、「私も行きますよ!」と言っているのと同じです。
朝倉康心選手は「園田選手もテンパイしているか、あるいは高い手なんだな」と感じたに違いありません。
園田選手が西家で、ドラがなので、もしをアンコで持っていると、中・西・ドラ3が確定し、あと一つ役があれば跳満になります。かなり警戒した方がよさそうですね。
実際はどうだったかというと、
ドラこそありませんでしたが、やはりテンパイしていました。
同じ試合の東4局では、こんな場面もありました。
親の朝倉選手がリーチし、かつアンカンをしています。
その後、嶺上牌として朝倉選手が切ったを、園田選手がポンします。
これも、相当攻撃的な一手ですね。
アンカンによってドラが増えており、朝倉選手の打点は高くなりそうです。
また、もし園田選手がをポンしなければ、手元にある2枚のは、親のリーチに対して確実な安全牌になっていたはずです。
にもかかわらずポンして前に出るのは、園田選手も勝負手だと推測できます。
実際は、このような手でした。
ドラのがアンコで、をポンしてを切ればマンガンのテンパイをとれるため、押したというわけです。
とのシャンポン待ちですが、既に河にが3枚出ており、ワンチャンスになったは他から出やすい期待もあったかもしれません。
このように、リーチを受けたときは、リーチ者との1対1の勝負になるとは限らないことを意識しておきましょう。
なお、リーチに対して他家が立ち向かっていく状態は、自分にとってよくないことだとは限りません。
勝負している人が複数いれば、その人同士で放銃しあって横移動となり、自分が失点しないケースも増えますし、誰かの勝負手を他家が安い手でつぶしてくれるケースもあるからです。
リーチに対して、他の3人がベタオリすると、俗にいう「一人旅」の状態となり、リーチ者のツモ回数が増えてツモられる確率も上がりますし、流局してもテンパイ料として1000点を払うので、必ずマイナスの結果になります。
それに比べると、2人ないし3人が争ってくれる方がマシ、ということもあるのですね。
次回は、少し応用編ですが、他家が切る牌の順序から推測できることを紹介します。