ヘッドレス形1シャンテンの場合、雀頭以外に面子が出来てもテンパイしますが、手牌に暗刻がある場合は、面子が出来た時も暗刻から1枚切って雀頭+面子候補、つまり単騎待ち以外のテンパイに取ることもできます。このため、暗刻があるかどうかで打牌選択が変わる場合があるので、「現麻本」では講座9は暗刻がある牌姿、講座10は暗刻がない牌姿を取り上げました。こちらでも暗刻がある牌姿から取り上げます。
3面子2面子候補の形に受けられる1シャンテンについても、2つの面子候補がそれぞれ良形か悪形かで3通り(良良、良悪、悪悪と表記します)に分類できます。
暗刻+良良に受けられる1シャンテン
ドラ
打
打とするとテンパイする受け入れが8種28枚で全て良形。完全1シャンテンよりも強い1シャンテンになります。
打と面子候補を外した場合受け入れは6種22枚。ツモで3メンチャンになりますが、リャンメンテンパイの時点で十分にアガリやすいので、よりよい手を目指すメリットは低いため基本は打とします。
ドラ
打
このように順子と面子候補がくっついた雀頭を作りやすい形があると更に受け入れが広くなります。(打として受け入れ10種33枚。)
雀頭がある場合は45567の形は自分で6を1枚使っている分受け入れで劣りますが、雀頭がある場合は残すほうが受け入れでも勝ります。
浮き牌だけでなく面子候補に関しても、雀頭を作りやすい形の価値が上がります。
ドラ
打
マンズが5種17枚の多メンチャン。これなら打としても打としてもテンパイする受け入れ枚数で変わらないので、5メンチャンテンパイになる可能性がある分面子候補を落とす方がよくなります。
この形でようやく面子候補落としが有利になるのですから、暗刻+良良のヘッドレス形1シャンテンに取れるならほとんどのケースでそうしたほうがアガリ率で勝ると言えます。
ドラ
打
あがりやすさではほとんどのケースで暗刻+良良の形が勝るとはいっても、面子候補を落として3面子1面子候補+多メンチャン形を作る浮き牌にしても十分あがりやすいので、打点差がある場合は、むしろ受け入れを狭めても打点を重視した方がよいことが多いです。
第4回で、中盤で8種が手変わり待ちの基準と申しましたが、これは、「悪形テンパイと、良形でテンパイする受け入れが7種ある1シャンテンのアガリ率が同程度」というところから来ています。つまり、上記のような牌姿では打とするのが最も広いですが、打とした1シャンテンでも悪形テンパイ以上にあがりが見込めるということです。
一方、どんなに受け入れが広く良形テンパイになりやすい1シャンテンと言っても、良形テンパイそのものに比べればアガリ率で劣ります。アガリ牌の枚数では、2種8枚の良形テンパイは1種4枚の悪形テンパイの2倍ですが、アガリ率は2倍ではなく、約1.4倍です。
打としても良形テンパイよりはアガリ率が低く、打としても悪形テンパイよりはアガリ率が高いのですから、テンパイした時に高打点になる受け入れを優先して打とします。
受け入れ枚数で見れば結構な差がありますが、元々手広い1シャンテンなら多少狭くしても大体テンパイするので、なおの事単純な受け入れ枚数は重要ではないのですね。手広い手ほど受け入れ枚数を数えるのが難しくなりますし、複雑な形の受け入れ枚数を数えるタイプの問題もよく出題されてきたので、枚数を数えることが麻雀において重要であると考えられてきたように見受けられます。
しかし、繰り返しになりますが、手作りの基本は、受け入れ枚数を数えることではなく、より「よい手」を目指すことなのです。
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