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ネマタの戦術本レビュー第148回「天才雀士3人に麻雀のことを聞いたらバカ勝ちできた。 著:ASAPIN その8」

ネマタの戦術本レビュー第148回「天才雀士3人に麻雀のことを聞いたらバカ勝ちできた。 著:ASAPIN その8」

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テーマ8「ブラフ、けん制はどうやるか」

 本書で強者の意見が一致している通り、「ブラフが主な目的の仕掛け」が有力になることはあまり多くありません。

 アガリがかなり厳しい手とはいえ遠い仕掛けを入れると運良くメンゼンでリーチできる可能性が無くなるというのもありますが、もう一つの問題点として、仕掛けで他家全員を降ろせることは稀で、むしろ高打点が狙える他家にだけ押されてかえって不利になることも考えられます。

 テーマ1のように、鳴いてテンパイであれば、仮に高打点が狙える他家以外が降りても自分があがれる可能性が高い以上そこまで気にすることはないと思いますが、アガリに結びつきにくい仕掛けを入れて他家の手を止めること自体はあまり得策とはいえません。

 本書でも言及されていますが、ブラフをするとすればアガリを目指すうえで遠いところから仕掛けたが手が進まずアガリ自体が厳しい場合に、そのままだとメンゼンで真っ直ぐ手を進めてくる可能性が高い他家が降りることを期待して、他家からみてテンパイ濃厚に見えるような牌を手出しする時くらいです。

 仕掛けの主な目的はあくまでアガリ。悪形面子候補をスルーするとテンパイを入れることも難しいので、「あがれるとすれば鳴いた場合」と考えられ、なおかつあがれた時は高打点が見込める、安全牌も残るといった鳴くことによるデメリットの低い手であれば、鳴いた後で役をつける後々付けの仕掛けも考慮します。

 例えば本題の牌姿であれば、ドラ発を重ねなれば高打点が見込め発が重ならなければアガリ自体も厳しい、安全牌も残しやすいということで私もは鳴きます。

 本書でも言及されていますが、けん制効果のある仕掛けのメリットの一つは相手の動向が分かりやすくなること。遠い仕掛けをするならできれば他家の安牌を抱えつつ手を進めたいところですが、降り気味に打っている他家に対しての安牌はあまり抱える必要がないので手を進めやすくなりますし、アガリに結びつかない場合も結果的に形テンがとれることも増えます。

 いずれにせよブラフというのはあくまで副次的なもので、アガリを目指すうえで遠い仕掛けをするかどうかが微妙な場合に、ブラフ、けん制による効果が自分にとって有利にはたらくかどうかで鳴くかどうかで判断するというのが有力そうです。

・ ルールによって判断がどう変わるか

 確かに競技麻雀の方がけん制を効果的に使えることが多くなると言えそうですが、これも慎重に打ってくる他家が多いという打ち筋の問題というよりは、赤ドラが無いので高打点が見える仕掛けに対して押せる手牌になっていることが少ない(一発裏ドラもない場合はなおさら)というルールの影響もありそうです。

 そしてまた繰り返しになりますが、ブラフを入れるかどうかについても、他家の打ち筋やルールより実際の局面に応じた判断がより重要になると言えます。何故なら高打点が狙えるが、テンパイまでにこちらの仕掛けに危険に見える牌を通さないといけない他家を降ろすことができるならブラフが功を奏したことになりますが、アガリに近いがあがられても低打点の他家を降ろしてしまい高打点が狙える他家の手を追いつかせてしまえば逆効果になってしまうためです。

 どのタイミングならけん制込みの仕掛けが有力になりやすいかについては他家の手牌構成次第になるので、個別の読みの技術が必要になります。このあたりは機会があればまた検証してみたいところです。

 

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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