「起こらなかった時に損するようなレアケースは気にしない」と以前より申しておりますが、「一般的にはレアケースだが、この局面でも果たしてレアケースと言えるのか」についてはその都度考慮する必要があります。
本当にレアケースかを実戦中に確認するコツは、そうでないケースを想定してみることです。すぐにいくつも思いつけば問題ないですが、思いつくケースがいずれも局情報から否定できるとなれば、レアケースであるという最初の仮定に誤りがあったことになり、いよいよ「実はレアケースではなかった」ということが分かります。
リャンメンテンパイでダマだと安い。ほとんどのケースはリーチした方がよいですし、東家の仕掛けがあっても判断が覆ることはそうありません。単にリーチや仕掛けが怖いというだけで押すかどうか迷う段階のうちは押すことをお勧めします。
何故なら、そもそもアガリ自体が厳しいので押すべきでないケースなら、押すかどうかでそもそも迷わないので、「怖い」という感情も生まれないですし、もしリーチすべきでないとすれば、単に「怖い」ではなく、もっと具体的にそうすべき理由を思いついてしかるべきだからです。
一色手の仕掛けというだけなら、アガリに遠いところの強引な仕掛け、あるいはアガリには近いが安手であるケースを否定できませんが、今回はどちらも否定できる要素があります。
まずは手出しでドラを切ったうえにのリャンメンを手出しで落としています。一色手にしなくてもタンヤオドラ3の満貫手が狙えたのですから、遠いところからの強引な仕掛けは考えにくく、少なくとも一色手の面子候補が足りている1シャンテンと考えられます。
次は打点について。一色手はホンイツとチンイツがありますが、既に字牌が全種見えています。一応がトイツ以上のホンイツの可能性も無くはないですが、それならを残してホンイツに決めているか、むしろを落としてタンヤオドラ3を狙ってそうなもの。
そうすると仕掛けはチンイツ。仕掛けにが見えているので、親の18000点。ここまで条件が揃えば、仕掛けの現物待ちであること、危険牌を引いて回る選択が残ることから、ダマが有力ではなかったかと思います。
一般的にはレアケースであっても、他のケースが考えにくいと言えるほど局情報が出揃っていれば、最早レアケースとは言えません。最初から勝負に見合わない手であれば単に降りていればいいだけですから、相手の手牌構成を読むべきなのはむしろ勝負できる手牌になった場合です。
「この手牌なら問題なく押し」と思える手こそ、考えることがあるとすれば、「引くとしたらどんな場合か」を想定しておきたいものです。