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ネマタの戦術本レビュー第285回「鉄押しの条件  著:独歩・かにマジン・しゅかつ・平澤元気 その6」

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鉄押し13 (1)打(2)打

 次の無筋を引いてもまだ押すつもりなら、基本は安牌を切って1シャンテンを維持できるとしても受け入れを狭めずに押しと、「現麻本」には記載しました。この理屈だと(1)はを押すことになります。

 しかし天鳳位の指摘通り、は1枚しかなく、テンパイして追いかけリーチを打った場合も、現物のを残してまで危険牌のを押したことから、は面子候補の一部と読まれて待ちが止められやすくなるという要素もあります。

 そうするとここでを押すことでアガリやすくなっていると言えるかは怪しいので、(1)でも一旦切りでしょうか。2件リーチとなるとそもそも非リーチ者以外からの出アガリはあまり期待できないので、前巡は切りとしますが、この時点でも先にを切るのも確かに面白そうです。

 基礎的な押し引き基準が身に付いていれば、明確に降りるべきケースで押してしまうミスはかなり減ります。

 ですから、回避できた放銃をしてしまうミスの多くはむしろ、押す手であってもより放銃のリスクを減らせる選択があったことに気付かないケースです。押すか降りるかの2択ではなく、あくまで打牌毎の比較であることを意識しておきたいものです。

鉄押し14 (1)打(2)打

 場況の良い悪形といっても、場況の良し悪しの判断がつかない良形よりも勝るケースは稀です。悪悪1シャンテンであれば4翻あっても「微差で降り有利」、今回は切る牌の危険度も比較的高いので判断を変えるほどではないとみます。手牌Aの場合は、「どちらでも良い」になるので、悪形でも場況が良いという理由で押し寄りとみて打とします。

 場況読みで判断が大きく変わるケース自体は少ないですが、押し引き判断が「どちらでも良い」になる領域は、むしろ場況こそが押し引きを決定する要素と言っても過言ではありません。

 特に悪形面子候補については、場況の良し悪しで価値がかなり変わるので、単に悪形で一括りせずに手牌の価値を見極めたいものです

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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